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新型肺炎が中国の消費・企業活動を直撃 今後を可能な限り見通してみる (1/2ページ)

 春節(旧正月)以降、中国関連のニュースは新型肺炎のニュース一色に染まった。新型肺炎による死者数は既に重症急性呼吸器症候群(SARS)を超え、終息のめどは全く立っていない。新型肺炎は中国のみならず世界の公衆衛生の緊急事態であるが、ここでは特に中国経済への影響について、可能な限り見通してみたい。(三菱総合研究所・猪瀬淳也)

 新型肺炎の経済影響は(1)消費行動の変化(消費や外出の抑制)(2)企業活動の制約(工場・店舗の営業停止、サプライチェーンの寸断・停滞)(3)資産価格の下落(株安・通貨安)-に大別される。このうち特に(1)、(2)について詳細に見ていく。

 下半期に需要反動か

 まず(1)消費行動の変化について、比較対象となるSARS発生当時のデータを振り返ってみよう。最初の症例報告は2002年11月であったが、1人当たり消費支出でみると03年4~6月期に大きな落ち込みがあり、経済影響が最も大きくなっている。それまで平均して前年同期比10%増の成長を遂げていた消費支出が03年4~6月期に同2.16%増まで落ち込み、8ポイント程度減速した。

 SARSによる中国および世界経済に与えた経済影響を分析したエコノミストのリー・ジョンファ氏、ワーウィック・マッキビン氏は、経済影響を(1)カントリーリスク上昇(2)需要ショック(3)コスト上昇-の3つに分解して見ているが、中国では他国に比べて特に(2)需要ショックの影響が大きかったとされる。

 SARSの場合、世界保健機関(WHO)が注意喚起を発したのが(03年)3月12日であり、今回の新型肺炎(20年1月30日に緊急事態宣言)よりも1カ月以上遅い。仮に終息時期がSARSと同じ5~7月頃になるとすれば、マインド悪化がSARS時よりも1カ月長く続くこととなり、消費支出をさらに下押しする可能性が高い。

 一方、03年の中国経済は暦年ベースで見ると大きな減速にはならなかった。この一因には、03年10~12月期に消費が大きく盛り返したことが挙げられる。前述の1人当たり消費支出は10~12月期に同13.9%増の伸びとなっており、大きな反動があった。今回の新型肺炎でも、今自宅に閉じこもっている多くの中国人は結果的に消費支出を減らしており、その分手元資金に余裕が生まれていると想定されるため、20年下半期にはある程度の反動があると見込まれる。

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