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新型肺炎が中国の消費・企業活動を直撃 今後を可能な限り見通してみる (2/2ページ)

 世界の供給網に影響

 次に(2)企業活動の制約では、足元で生産が徐々に再開している一方、部材メーカーの工場稼働が制約となり下流の工場の稼働が遅れるなどのサプライチェーン上の問題も見えつつある。SARS時と比べてグローバルサプライチェーンへの中国の関与はより複雑かつ深くなっており、一部の工場の生産停滞が他の中国国内・国外の生産に与える影響は拡大している。

 新型肺炎の震源地となっている武漢市が属する湖北省は、自動車生産量で第4位(31省・自治区・直轄市中の順位)など工業が盛んな省の一つだが、新型肺炎に伴う生産縮小が広東省や江蘇省など他の省に波及すれば、中国・世界に与える影響はさらに大きくなる。

 また、このような企業活動の制約が長期化すると別の課題にも波及する。その1つ目は不良債権の拡大に伴う倒産の増加だ。現在中国では債務の積み上がりが問題となっているが、手元現金に余裕がない企業(主に中小企業)は稼働が絞られることで利払いが滞り、倒産する可能性が高まる。さらに消費マインドの悪化や外出抑制により、製造業のみならずサービス業でも倒産懸念が高まっている。倒産が相次げば、前述した消費の反動増が大幅に小さくなることに加え、金融不安につながる恐れもある。

 課題の2つ目はグローバルサプライチェーンの組み替え加速だ。「チャイナ・プラス・ワン」自体は何年も前から議論されていたが、この流れは米中貿易摩擦の激化により加速した。今回の新型肺炎により、昨年来強まる中国からの工場移転の流れがさらに強まれば、長期的に中国の輸出競争力低下につながる。

 新型肺炎により中国の成長は確実に押し下げられる。20年下半期に再び中国経済を成長軌道へ復することができるか、中国政府の対応に注目が集まる。

【プロフィル】猪瀬淳也

 いのせ・じゅんや 東大理卒。2006年三菱総合研究所入社。16年から政策・経済研究センター主任研究員。新興国のマクロ経済・政治情勢分析を担当。博士(経済学)。39歳。神奈川県出身。

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