株価・外為

“実感なき株高”は少数IT牽引 「値がさ株」が指数左右、銘柄の3分の2下落

 日経平均株価が3万円を超え、バブル期以来約30年半ぶりの高値圏で推移している。新型コロナウイルス禍で景気が悪いのに、なぜ株価はこんなに上がるのか。実感なき株高の背景には、少数のIT関連株が平均株価を牽引し、価格の高い「値がさ株」の動きに指数が左右されやすい相場の構造がある。

 新顔が上位

 国内外の金融緩和を追い風に平均株価が年間で3787円(16%)上昇した2020年。実は平均株価に組み込まれている225銘柄中、値上がりしたのは77銘柄に限られ、3分の2に当たる148銘柄は下落した。

 ニコンや三菱自動車が半値以下に沈み、旅客が減ったJR東日本やANAホールディングスは3割超下落した。国内有数の60万人超の個人株主がいるNTTは4%安となり、バブル期に時価総額上位を占めた銀行株も振るわなかった。

 対照的に上昇率が高かったのはIT企業だ。首位は株価が約3倍に上がった医療従事者専用サイト運営のエムスリー。2位、3位にはスマートフォン向けゲームを手掛けるネクソンとサイバーエージェントが続いた。3社ともバブル期にはまだ創業しておらず、18年以降に平均株価の構成銘柄に採用された新顔だ。コロナ時代の成長が見込めるとして緩和マネーが集中的に流れ込んだ。

 平均株価の構成銘柄では、オンラインと実店舗で衣料品を販売するファーストリテイリングが1株10万円を超える。他方、数百円程度の企業もあり、個別株価の開きが大きい。平均株価は算出の仕組み上、値がさ株の影響を大きく受けることになる。

 三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏によると、ファストリ、ソフトバンクグループ、エムスリーなど影響力の大きい上位9銘柄だけで20年の寄与額が計3801円に達し、平均株価の年間上昇分を説明できてしまうという。

 年明け以降も株高の原動力となったのは値がさ株だ。代表格であるファストリの新規投資には1000万円超(100株)が必要で、個人投資家にはなかなか手が届かない。楽天証券の土信田雅之氏は「株高を演出したのは日銀と外国人で、個人への恩恵は限られている」と語る。

 東京証券取引所などの株式分布状況調査によると、直近の19年度末は外国人投資家の保有比率が29.6%、国内信託銀行は21.7%に達した。信託銀には日銀の上場投資信託(ETF)購入分が含まれ、比率を押し上げた。一方、国内の個人投資家は長期低落傾向で、19年度末は16.5%と過去最低を記録した。

 マネー息切れ

 大口の資金を持つ投資主体で相場を動かす中では、今後の株価も景気実感から懸け離れた形で進む可能性がある。

 東海東京調査センターの平川昇二氏は「そろそろ『景気が良いのになぜ株価が下がるのか』と言われるようになる」とみる。コロナ後の景気回復を示唆する経済指標が相次ぐようになれば、市場は金融緩和の拡大が終わると先読みすると指摘。「平均株価が3万5000円に向かうことはないだろう」と投資マネーの息切れを予想した。

【用語解説】値がさ株

 株式市場で高い価格で取引される銘柄を指し、株価が1万円を超えるソフトバンクグループなどが該当する。構成銘柄の株価を合計して算出する日経平均株価では、値がさ株は株価が数百円の銘柄よりも大きな影響を指数に与える。一方、株価と株式数を掛け合わせた時価総額に着目して算出する東証株価指数(TOPIX)は、時価総額の大きな銘柄の値動きに左右される傾向がある。

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