有給取得の義務化、今春開始 中小企業に人手不足の「壁」 (1/2ページ)

 働き方改革関連法の一環で4月に施行する年次有給休暇(有給)の取得の義務化をめぐり、不安の声が上がっている。国内の有給取得率は現在約5割にとどまっており、中小企業はさらに低い。業界によっては人手不足が深刻で、職場への配慮やためらいも影響を及ぼす。政府は義務化で取得率の底上げを期待するが、関係者の戸惑いは深い。

 有給取得の義務化は、昨年6月に成立した働き方改革関連法に盛り込まれた。年10日以上の有給を与えられている労働者に対し、会社が本人の希望を踏まえ、時期を指定して5日分を取得させなければならない。違反した企業は30万円以下の罰金の対象となる。

 背景には有給取得率の低さがある。厚生労働省によると、有給取得率(平成29年)は51・1%。企業規模が大きいほど高く、従業員千人以上の大企業で58・4%だが、30~99人の中小企業では44・3%に落ち込む。産業別によっても差がある。「電気・ガス・熱供給・水道業」は約7割に上る一方、「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」などは3割台となっている。

 なぜ取れないのか。東京都内の小売業で働く男性(42)は「うちはほぼ年中無休。商品販売を含め一日中忙しい職場ということもあり、離職率が高い。新しく人材を入れてもすぐに辞めていく状況で、常に現場に人が足りない」と悩む。さらに、「有給取得の義務化が始まれば、休む人員の穴埋めが必要になる。他の店舗からスタッフを応援に呼ぶなどの対策も必要になるだろう」と明かす。

 今年1月に日本商工会議所が公表した中小企業を対象とした調査(昨年10~12月調べ、2045社回答)では、有給の取得義務化について「対応済み」「対応の目途がついている」とした企業は44%にとどまる。

 「義務化に向けた課題」(複数回答)は「業務量に対して人員が不足」が48・3%と最多。次いで「年末年始や年度末など特定時期に業務が過度に集中」(36・2%)、「組織間、個人間で業務量にムラがあり、特定社員に業務が集中」(33・3%)-が続いた。

 特定社会保険労務士の小岩広宣氏は「職場では、有給を取得できている人とそうでない人がいる場合もある。今の仕事量、業務内容が適正かどうか、会社は社員らにヒアリングを行うなどして、職場環境の改善を図ることが重要になる」と指摘した。

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