ローカリゼーションマップ

文化の「線引き」はどこまで必要か? スカンジナビアとアジアの違い (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 ぼくたちは、もともとそんなにガチガチの線引きで生きているわけではない。とても曖昧な区切りで生きている。原産地呼称表示の制度や著作権などの権利の存在感が強くなったことで、きっちりとした線引きが必要になったところもあるが、すべてがそういうわけではない。

 多くのことは「イメージ」という名のもとで曖昧なままに流通している。その曖昧なゾーンが膨らんだり萎んだりしながら、ポジティブに作用したりネガティブに作用したりするのだ。

 ネガティブな作用の一例が、「お前のところと一緒にされてたまるか!」という類の不満である。

 中国大陸、朝鮮半島、日本、それぞれの文化は縁が深く、それぞれに曖昧な線引きをうまく使っているところがある、だが、たまに「うまく使えない」「使いたくない」との状況が生じる。

 海外に多くある中国人がつくっている寿司を「ナンチャッテ寿司」と揶揄する日本人は多いが、中国を発祥の地とする麺料理が日本で独自の発展を遂げ、その日本式ラーメンに馴れた日本人が、中国の麺料理を「あれはラーメンじゃない」と文句を言いながら線引きをする。

 線引きに厳しいのは狭量な証拠なのか、それとも何らかの美学の表現なのか。一度、両国の文化バランスシートを作ってみると面白いかもしれない。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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