5時から作家塾

古いが新しい、ヨーロッパを股にかける“令和のサブちゃん”「三五八屋」 (4/4ページ)

ステレンフェルト幸子

 今でも、宅配に伺った先のお客様に差し入れや感謝のお手紙を頂くことが驚くほどたくさんありますが、これは宅配業者が中に入ったら、また日本人同士でなければとてもありえないことです。江戸時代から続く日本の御用聞き「三河屋」サービスは、心の通う素晴らしい通販だったことを実感しています。日本へ帰国されるお客様が「日本食が恋しい時に支えてもらえて、大きな精神安定剤でした」とメッセージをくださったりする時も、やっていてよかったと感じます。

 やはり自分も同じ海外在住日本人として、お客様の役に立てるという実感が最大のやりがいであり、喜びです。

 --現在、顧客からどんなニーズを感じていますか

 やはり宅配のニーズです。オランダのスーパー各社も宅配サービスを強化していますが、当店をご利用くださるお客様は、ご自身で買い物に行けないからというより、「買い物に費やす時間と足代をもっと有効に使いたい」という理由で通販を選択されるお客様が増えているようです。これは、世界的に定着していく風潮だと考えます。

 意外にも「これからのビジネスモデル」、三五八屋スタイル

 武田氏のお話を聞いていて思い出したのは、近年大型量販店の逆路線で成功例が相次いでいる「町の電気屋さん」だ。昔ながらの顔を合わせ、顧客のニーズに応えることで関係を築いていく「御用聞き」スタイルは、どんなにIT化が進もうがAIが取って代わることはできない。

 また、5度の転職全てにおける経験が50代で形をなしたことや、自分の強みの活かし方、元々やりがいを感じられるフィールドを選んだこと、開拓されたように見える市場で彼にしか見えないニーズを掘り下げたことなど、従来の終身雇用制度が崩壊するこれからの時代を生きていく私たちにも様々なヒントが散りばめられているように感じる。

 温故知新な三五八屋スタイル。今日もヨーロッパのどこかの日本人の玄関に、日本食材と真心という精神安定剤を届けているだろう。(ステレンフェルト幸子/5時から作家塾(R)

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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