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「締めるべき扉」と「プリザーブ」の関係 文化は個人の意思で作られる (1/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 スウェーデン人がホストのポッドキャストを聴いていると、対談相手のこんなフレーズがあった。

 「これまで、扉という扉をどこも開けすぎた。すべて開放すればいいというものではない。閉めるべき扉は閉めておいて、開けるべき扉を開ける。こういう判断が必要だ」

 日を経ても、これが耳からなかなか離れない。何度も、この言葉がよみがえってくる。そういう時に、別の場所で米国人のアーティストが拘る単語として「Preserve」を挙げていることをたまたま知った。

 辞書をひくと名詞で「領分」や「分野」、あるいは「禁猟区域」という意味が出てくる。動詞だと「保存する」「(記憶を)留める」「(食べ物を)漬ける」といった日本語訳がある。

 「扉の開閉」のフレーズが頭のなかで揺れているところに「プリザーブ」という単語が水面にポトンと落ちるかのように、頭のなかに入ってきた時、ぼくの視界は一気に広がったような気がした。

 「閉める」「保存」という言葉は、往々にしてネガティブなイメージをもつことがある。インターネットによってすべてに境がなくなったような感覚をもった後、国境や古いコミュニティーのことを語るのは、閉じた印象が一時期あった。

 しかしながら、この数年、一方的に「開けっ放し」にすれば良いわけではないことに、一部の人は十分に気がつきはじめた。それを後押しする一例が、欧州連合のGDPR(EUデータ一般保護規則)だろう。

 またオープンイノベーションが効果を発揮するところと、まったく逆のアプローチをとった方がよいところがあることも認識されてきた。

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