ローカリゼーションマップ

ベゾスを招いたブルネッロ・クチネッリ シリコンバレー長者と語ったこと (3/3ページ)

安西洋之
安西洋之

 少なくても、ぼくがここで理解するのは、クチネッリは本気であるということだ。

「長い年数、それも何十年ではなく、何百年単位の年数で意味あること」を、2019年の今、忘却の彼方に追い込まずに「現在も生きる」ものとして尊重していく。彼はこの信条をもって自身のブランドをつくり、ソロメオやウンブリアに生活する人たちの人生に気を配ってきた。

 その一方で、大西洋を超えた国に住む、目まぐるしいスピードで覇権を奪い合うテクノロジー企業のリーダーに向かって、さらに深く語りかけざるを得ないと思うに至ったに違いない。

 現在、サスティナビリティーという言葉が多用される。「持続可能」とは何年単位のことを指しているのだろうか。環境問題を視野に入れているからといって、人々の頭のなかでは、せいぜい自分の子どもか孫の世代がどうか、というあたりが時間的スケールだと感じることが多い。それだと何百年にはならい。

 環境問題は重要なテーマであるが、それを考え続ける倫理が弱いとテーマに押しつぶされてしまう。環境問題はテクノロジーによって改善されることも多いが、テクノロジーを使う人の倫理が問われる。

 クチネッリは、ここにある陥穽が気になっているのではないだろうか。

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
安西洋之(あんざい・ひろゆき) モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター
ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
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ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。

ローカリゼーションマップ】はイタリア在住歴の長い安西洋之さんが提唱するローカリゼーションマップについて考察する連載コラムです。更新は原則金曜日(第2週は更新なし)。アーカイブはこちら。安西さんはSankeiBizで別のコラム【ミラノの創作系男子たち】も連載中です。

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