5時から作家塾

英語のやり取りでは「時候」の代わりに何話す? 英会話でのビジネスマナー (4/4ページ)

ステレンフェルト幸子

 「個人的前置きトーク」ダメな例

 蛇足だが、そこそこの規模のウェブショップで仕入れ担当として勤務し、日々世界中の取引先とコンタクトを取っている筆者の夫から聞いた「ダメな例」をいくつか。

 その一は、とあるアジアの国の営業担当の女性。メールの最後をいつも「I wish you happy every day.(あなたの幸福を毎日祈っております)」という挨拶文で締める。夫いわく「いや嘘でしょ、てか本当だったら怖いし」。あまりに個人的・熱心に聞こえる挨拶、見え透いたリップサービスはさすがにNGだ。

 その二、オランダ人にありがちなパターン。礼儀として聞いた「お子さんは元気?」「ホリデーはどうだった?」という質問に、ノリノリで長い答えを返す人。夫「実は興味ないよ、本題に入らせてくれよ!」

 その三、これはビジネスに限らず一般的にタブーだが、宗教と政治の話。これらのトピックに関しては、私たち日本人には想像もつかぬほどの熱量を持つ人たちが世界には多数存在する。軽々しく挨拶には使わない方が無難だ。逆に無信心な私の夫は、悪気はなくても挨拶として「神のご加護を」などと言われると、「いえちょっとあなたの神さまどなたか存じませんし、ご加護とか結構です」と気味悪い気分になるという。まあこちらに関しては特定の宗教に入れこまない多数派の日本人はセーフだろうと思う。

 逆に聞かれた場合の返し方

 それからこれはどんな話題でも同じだが、もし向こうからこうした質問をされた場合、答えは「短く」「ちょっとしたポジティブな小ネタを入れて」返そう。

 別に特別なことでなくても、例えば「良い夏休みを過ごされましたか?」と聞かれたら、「2泊だけ高原の民宿に泊まったのですが、すごく涼しくていいところでしたよ。日本へお越しの際にはぜひ」とか、「どこへも行かずに家でゆっくりしましたよ。いい休養をとって元気いっぱいです」とか。

 日本人の礼儀として謙遜して不幸な話をすると、向こうがフォローしなくてはいけなくなり面倒な思いをさせるし、「夏休みなんか取れませんよ!」などと愚痴れば、「この国人権大丈夫?」と後進国の印象を与えかねない。

 そして最後にとても大事なこと。忙しくて時間を割きたくないのに電話口で相手に「How’s it going?(調子はどう?)」などと聞かれた時は、

 「Good, good!(良好ですよ、良好!)」

 などと短く返してもいいが、必ず「And you?」と聞き返すのを忘れずに。そうしないと「自分のことだけ話して会話を終わりにする人」という独りよがりな印象を与える。

 こうしてみると、フォーマットのある「時候の挨拶」の方が簡単で手短に終わるんじゃ? と思ってしまうが、それは筆者が日本人だからであろう。

 オランダ語では「praten over koetjes en kalfjes(牛とか子牛とかの話をする)」と表現される、アイスブレーカーとしての他愛のないおしゃべり。ぜひビジネスシーンにご活用を。(ステレンフェルト幸子/5時から作家塾(R)

 《5時から作家塾(R)》 1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。▼5時から作家塾(R)のアーカイブはこちら

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