働き方

「好き」を仕事にする強さ 40年休載なしの「こち亀」作者が語る働き方 (1/2ページ)

 原稿の〆切厳守、時には徹夜も当たり前-。激務のイメージが強い漫画業界にあって、40年間一度も原稿を落とさなかったのが、漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)』の作者、秋本治さん(66)だ。自身初のビジネス書『秋本治の仕事術 「こち亀」作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』(集英社)を刊行した秋本さんに、働き方の極意や「こち亀」への思いを尋ねた。(本間英士)

 仕事の「金言」宝庫

 「(3年前に)『こち亀』の連載が終わった後、『どういう風に仕事してるんですか?』と聞かれることが多くて。この本は、その質問への僕の答えです」

 同書は6章構成。限られた時間をうまくやりくりする「時間術」や、『こち亀』の多種多様なネタを思いついた「発想術」などが分かりやすい言葉でつづられている。

 〈どうしても面白いアイデアが出ないときは、悩む前にすっぱりと諦めます〉

 〈正確性は置いておき、とりあえず叩(たた)き台をつくることが肝要〉

 〈小さなイライラの芽は早期発見して自分でとっとと処理〉

 〈最短で成功をつかむためには回り道を厭(いと)わないこと。(中略)人を選ばず、なるべく広く交流を持つこと〉

 秋本さんの「仕事術」に奇策はない。漫画だけではなく、仕事全般に通用する金言の宝庫だ。

 休むのはもったいない

 型破りの警察官・両津勘吉(両さん)が織りなすドタバタの日々を描いた『こち亀』は、秋本さんのデビュー作だ。昭和51年から40年にわたり、週刊少年ジャンプの顔であり続けた。

 「僕は漫画を描くことが大好き。好きなことを仕事にしたからこそ、40年間で苦しかった思い出はほとんどありません。仕事が楽しいので、休むのがもったいなかったんです」

 そんな秋本さんも、連載初年は仕事のペースがつかめず、徹夜作業もしていたという。その生活を、2年目からじょじょに改めていった。理由は「『こち亀』以外にも読み切り作品を描きたかったから」というのだから、恐れ入るしかない。

 まず、仕上げに当初7日かけていた『こち亀』を6日で描けるように工夫。その後、さらに時間を切り詰め、5日で仕上げるシステムを自身の中で確立した。

 「それまで『どうしようかな…』と2日悩んでいたネーム(漫画の設計図)などの時間を、『1日で仕上げる!』と決めました。こうすると、週1日空きます。歯磨き粉のチューブをしぼるように、無駄な時間を少しずつ省いていけば、大きな時間を作れるんです」

 その結果、原稿のストックは常時5~6本を確保。「貯金」を常に保つことで心に余裕が生まれ、空いた時間を遊びやネタ探し、旅行にも使えるようになり、それが『こち亀』という作品が持つ遊び心に生かされる-という好循環を生んだ。

 「僕はずぼらな性格。ただ、仕事だけはまじめなんです」

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