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BMWが新しいロゴで打って出た 風雲急を告げる自動車業界を象徴 (1/3ページ)

秋月涼佑
秋月涼佑

 去る3月4日に突然BMWの新しいブランドロゴが発表されました。従来の黒い外周に白抜きBMWのその黒の部分が透明になったイメージは、デザインを構成する要素はまったく変わっていないにも関わらず、大きく印象が変わって見え、結構なインパクトがあります。なんでも23年ぶりの新ブランドロゴだそうです。

 アイソレーションスペースを要求しない斬新さ

 それにしても斬新なのが、この新しいロゴ、写真や背景の上で使うことを前提にしているようで実際に写真の上に乗っかっています。つまり透明なロゴを通して背景の写真が見えるのです。

 これはありそうでなかったチャレンジです。ブランドロゴの位置づけはどんな企業にとってもそうですが、特に自動車会社にとって極めて重要です。実際に各社のVI(ビジュアルアイデンティティ)を規定するブランドブックには、ありとあらゆる使われ方を想定したDo/Don't doのガイドラインが定義されています。そして従来の常識で言えば、その中でももっとも厳重かつ気を遣う部分が「アイソレーションスペース」の確保、つまり、ロゴの背景や周囲のある範囲(条件によってmm単位で規定されていることがほとんど)に他の表現要素を置かないとか、背景は白に限るなどの約束ごとです。ロゴには自動車会社の魂が込められているものだから、どんな国、どんなメディアでも常に同じ見せ方、見え方をしなければならないとの思想がその背景にはあります。実際に従来のBMWロゴはきっちりアイソレーションスペースを取って配置されてきました。

 確かに、グラフィックデザインで言えば新聞、雑誌、カタログを中心とした紙媒体メインだった時代から、ウエブでの訴求割合が年々高まり、基本的に紙媒体を前提にしたブランディングの考え方では実務上使い勝手が悪い場面が多々あったことも事実です。となればアイソレーションスペースをあまり気にせずロゴを使えた方がウエブメディア時代のデザインには好都合であるかもしれません。

 挑戦者BMW

 それにしても、らしいな、と思ったのはそれがBMWだったからです。今や、ドイツプレミアムカーブランドのメルセデスベンツとの双璧、もしくはこの2大メーカーにアウディを加える場合もあるかもしれませんが、12気筒エンジンを積んだトップエンドサルーンからBMWで言えば1シリーズ、メルセデスベンツで言えばA classのCセグメントまでフルラインナップでしのぎを削るドイツプレミアムブランド両雄として確固たる地位を築いているBMWですが、歴史的には常に王者メルセデスベンツに対する挑戦者でした。

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