高論卓説

「春闘終焉」、交歓会での伏線 「討創」で自社型賃金決定に取り組むとき (2/3ページ)

 決定打は、賃上げ相場のリード役であるトヨタ自動車を含む自動車業界の労組で構成する自動車総連が10日、ベースアップについて統一要求額を決めない方針を決定したことだ。「ベア自体は要求するが、要求額は各労働組合がそれぞれの事情を踏まえて決める」(11日付産経新聞)という。代わって「絶対額」を重視するそうだ。

 連合も「上げ幅だけでなく、絶対額にこだわる」(神津会長)と足並みをそろえている。大手と中小との賃金格差を埋めるには、あるべき絶対額で要求した方がよいという理屈だが、建前である。

 昨年、トヨタ労使が妥結したベア額を非公表にするという問題が起きた。団結を乱す動きだが、トヨタ労使は今後も非公表を維持する構えである。トヨタの労組に配慮して、自動車総連や連合は「ベアより絶対額」に軸足を移したと見た方が、分かりやすい。

 もちろん絶対額で大手も中小も同額を獲得できるのならよいが、そんな力が労組側にあれば、賃金格差はとうになくなっているはずである。予想される結果は、「春闘」の形を曲がりなりにも保ってきた「統一闘争」の空洞化である。旧総評の太田薫元議長が1975年に『春闘の終焉(しゅうえん)』と題する本を書いている。それがようやく現実のものになろうとしている。平成時代に年功賃金の改革が進み、成果主義や定年延長に伴う改定などの要素が強まり、企業間、個人間ともに横との比較が難しくなっている。

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