金融

損保大手、AIで自然災害予測 「減災」を新たなビジネスに

 損害保険大手各社が、人工知能(AI)や外部のデータを用いて自然災害の被害を予測する取り組みを活発化している。自然災害が多発し火災保険の収支が悪化する中、「減災」によって保険金の支払いを減らしたり、新たなビジネスにつなげたりするため知恵を競い合っている。

 東京海上日動火災保険は、豪雨の頻度に着目した。国の防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が作成する降雨の「再現期間」というデータを活用し、被害を即時に予測する仕組みを作った。

 再現期間は、その雨が何年に1度降るレベルなのかを示すもので、同じ雨量でも再現期間が長いほど被害が膨らむ可能性がある。

 2019年10月の台風19号で氾濫した千曲川(長野県)や阿武隈川(宮城県、福島県)の流域は24時間降水量が関東地方より少なかったが、その後の分析で再現期間が100年を超えているエリアが多かったと分かった。防災科研の平野洪賓主任研究員は「絶対的な雨量だけで水害が発生するかどうかを予測することはできない」と話す。

 東京海上のシステムでは、再現期間が「50年以上」は最も危険な紫、「30年以上50年未満」は次に危ない赤など、5キロ区画に網目をかけた地図上にリアルタイムで色分けする。浸水の広がりを予測する機能も搭載して自治体に販売する予定で、避難指示などに役立ててもらうことを想定する。

 被災地から会員制交流サイト(SNS)に投稿された情報も貴重なデータだ。あいおいニッセイ同和損害保険は台風や豪雨、地震による建物の被害棟数を予測するウェブサイトを一般に公開している。今秋までにSNSの投稿を解析し速報する技術を持つJX通信社(東京)と提携し、被災地の現状が分かる機能を加える予定だ。

 損保ジャパンは米シリコンバレーで防災に取り組むベンチャー企業ワン・コンサーンと組み、過去の災害や周辺環境など150種類以上のデータから被害を予測するシステムを構築し、熊本市で試験中だ。三井住友海上火災保険は米保険ベンチャーのヒッポに約360億円を出資。衛星画像や地理データなどを解析するノウハウを取り込む。

 いずれもデータの解析ではAIが重要な役割を果たしており、予測と備えにより被害と保険金を減らせると期待する。

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