IT

日系企業、ミャンマーでの苦境続く クーデターで成長一転…危うい事業継続

 2月のミャンマーでの国軍によるクーデターから約3カ月がたつ中、現地に進出する日系企業の苦境が続いている。今月24日の東南アジア諸国連合(ASEAN)の特別首脳会議はミャンマーでの暴力の即時停止で合意したが、国軍がどこまで合意を順守し、実際に治安が回復するかは不透明。仮に現地での安全確保が進んだとしても、日系企業の活動が国軍による支配の容認ととられれば、国内外から批判を受ける懸念もある。高い成長性が期待されてきた日系企業のミャンマー事業は、現在では継続さえも危ぶまれる状況だ。

 ミャンマーの最大都市ヤンゴンでは「ヤンゴンの丸の内開発」と呼ばれる「ヨマセントラルプロジェクト」にブレーキがかかっている。

 手掛けてきたのは三菱商事などで、ヤンゴン中央駅前にオフィスや大規模住宅などを整備する計画。完成は今年中を予定していた。しかし昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大による工事の遅れに加え、民主派のデモと国軍の対立激化で工事はさらに難航。完成予定を再検討せざるを得ない事態となった。

 またトヨタ自動車がヤンゴン郊外のティラワ工業団地で建設するミャンマー初の完成車工場も混乱の余波を受けた。2月に予定していた操業開始は現在も「見通せない」(関係者)状況だ。

 日系企業の事業が停滞する背景には、混乱がクーデターに起因するものだという事情がある。治安が落ち着きをみせたとしても、国軍が実権を握る中で安易に企業活動を進めれば、国民による「不服従運動」に非協力的と受け止められるおそれがある。ミャンマーで工業団地事業を運営する住友商事によると、「進出企業の大半が稼働状況を明らかにしていない」という。

 同様の事情は通常なら当然行うはずの納税にも関わってくる。ミャンマーでは所得税は企業が源泉徴収して税務当局に納めるのが一般的だが、こうした納税も「国軍への協力」とみなされかねない。

 日本商工会議所の三村明夫会頭は「従業員や市民から税金を払うなと企業が言われている。税金を払うということは国軍を応援するという考えだ」と指摘。しかし納税しない場合には「別の問題が起きることになり、進出企業は非常に苦労していると聞く」と説明する。

 ミャンマーの経済成長率は2011年から19年にかけては毎年5%を超え、日系企業はこの経済成長を期待して投資を続けてきた。それだけに各社ともミャンマーからの事業撤退には踏み切っていない。

 ただ、今後、クーデターに対する国際的な批判がさらに強まれば、事業継続の判断は難しさを増す。日本のミャンマーに対するODA(政府開発援助)がストップすることも考えられ、円借款によるプロジェクトに関わるある企業の担当者は「今後、政府がどう判断するかが最大の懸念材料だ」と不安視する。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus