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政府のモニタリングが鍵 巨大IT広告、事業者と共同で規制

 インターネット広告で指摘されている課題に対し、政府は「共同規制」という考え方で規制に乗り出す。必要最低限の規制を法律で定め、具体的な手段は事業者の取り組みに委ねる手法だが、広告はグーグルなど多くのサービスを無料で提供する巨大IT企業にとって収益の“本丸”だ。実効性のある規制にできるかは、事業者を評価する政府のモニタリングが鍵を握ることになる。

 ネット広告市場では、本人の好みに合わせた広告を表示させる「ターゲティング広告」という手法が生み出されたことで、中小企業でも手軽に広告が出せるようになった。しかし、広告を出す「広告主」と広告を表示する「メディア」の間にIT企業が入ることで、広告の適正価格や効果が見えにくくなっているほか、広告を見る「消費者」も自分のデータが使われることに不信感を持つといった課題が生じている。

 こうした課題に対処するため政府が取るのが「共同規制」という手法だ。共同規制では事業者は課題への取り組みと自己評価を毎年度、政府に報告。政府はこの報告をもとに状況が改善しているかを評価・公表することで市場の健全化を目指す。

 こうした手法を取るのは、ネット広告市場が変革期にあり、何かを規制したとしても2、3年後にはビジネスモデルの変化で規制対象が変わるなど、いたちごっこに陥る可能性が高いからだ。過度な規制は技術革新を阻害する恐れもあり、政府関係者は「変化の早い市場で最も有効な手法だ」と話す。

 ただ、これで課題が解消するとはかぎらない。広告はグーグルやフェイスブックの売り上げの8割以上を占めるビジネスモデルの根幹で、簡単には譲れない領域だからだ。巨大IT企業に日本政府が課題を指摘したところで、効果は限定的との見方もある。広告市場での影響力は大きく、政府から否定的な評価を受けたとしても、多くの企業が巨大ITを利用せざるを得ない実情もある。

 フジサンケイビジネスアイの取材に、グーグルは「1年以上にわたり政府に積極的に協力し、弊社の事業運営と、その透明性および公平性確保のための取り組みについて説明してきた。今後も建設的な議論を深めたい」とし、フェイスブック・ジャパンは「今後もこの重要な議論に対し、政府・各省庁との協力を続けていきたい」とコメントしている。 (蕎麦谷里志)

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