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世界で警戒食品インフレ、主要穀物が8年ぶりの高値、天候不順で需給逼迫

 農産物の国際価格の指標となるシカゴ商品市場で、世界の食卓を支える小麦やトウモロコシ、大豆がそれぞれ2013年以来の高値を推移している。主要生産国での天候不順や中国による大量買い付けで需給が逼迫(ひっぱく)しており、ロシアなど穀物生産国の一部は輸出規制に動いている。食品価格などへの影響を懸念する声が出ている。

 小麦は4月26日の取引終了間際に3.8%上昇し、13年以来の高値である1ブッシェル=7.395ドルを記録。新たな入札者としてエジプトとバングラデシュが加わった。トウモロコシと大豆も13年春から夏にかけてつけた高値以来の水準で取引された。トウモロコシは過去1年で2倍となり、大豆は約80%、小麦は約30%上昇した。強気相場が小休止する兆しはほとんどみえない。

 中国「買い占め」の噂

 世界各地の乾燥した天候は米国やカナダ、フランスの小麦と、ブラジルのトウモロコシに悪影響を及ぼす一方、アルゼンチンでは雨が大豆の収穫を遅らせている。米国の穀倉地帯がこの夏、干魃(かんばつ)に見舞われるとの懸念も相場高騰の背景にある。

 また、中国は養豚を急拡大する中で世界の穀物供給を一気に飲み込み、トウモロコシの大半を輸入しようとしている。ストーンXのチーフ・コモディティー・エコノミスト、アーラン・シュダーマン氏によると、中国が100万トンのトウモロコシ買い付けに動いているとの噂が駆け巡っているという。

 ファームフューチャーズのアナリスト、ジャクリーン・オランド氏は「食品配給をせざるを得ない状況に近づいている。農家は全ての作物を売り尽くしたか、さらなる高値での売却のチャンスを狙っているかのどちらかだ」と話す。

 食料インフレの脅威に各国政府は神経をとがらせている。世界有数の穀物輸出国であるロシアは輸出規制措置を取った。ボリビアも国内の供給確保と価格抑制のため、牛肉の輸出を一時的に禁止した。

 農産物高騰は既に食品小売価格にも影響し始めている。メキシコではトルティーヤ、ブラジルでは牛肉、ミャンマーではパーム油の小売価格が高騰。米国ではベーコンなど肉類の価格が上昇している。主要農産物で構成するブルームバーグ農産物スポット指数は最近、約9年ぶりの大幅上昇を記録した。

 輸送コスト上昇圧力

 輸送コストの上昇や、サプライチェーン(供給網)の障害などのコスト上昇圧力も働いている。米清涼飲料大手コカ・コーラはコーヒーや炭酸飲料に使用される異性化糖に加え、プラスチック、アルミニウムのコスト上昇を指摘。食品世界最大手のネスレのシュナイダー最高経営責任者(CEO)はアナリストとの電話会議で「今は取り巻く環境が非常に不安定であり、先行きは見通しにくく、驚きの連続だ。当社は価格に対する行動を起こすだろう」と値上げの可能性を示唆している。

 商品価格をモニターする英ミンテックのアナリスト、トーシン・ジャック氏は「一般にこの価格上昇は続くと考えられている。同様の傾向は当面続き、いずれ消費者物価にも反映されるだろう」と指摘する。

 食料価格の高騰は家計や企業に大きな影響を与え、新型コロナウイルスの流行による打撃からの回復を目指す世界経済への脅威となる。さらには食品インフレを加速し、既に失業や所得減少による打撃を受けている家計に追い打ちをかける。低成長下における物価急騰により、各国の中央銀行は好ましくない政策選択を余儀なくされ、追加緩和策の導入が困難になる可能性がある。(ブルームバーグ Kim Chipman、Megan Durisin)

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