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経団連次期会長の十倉氏、実績・手腕で高い評価も

 十倉(とくら)雅和住友化学会長の経団連会長就任に対し、周囲からは10日、「適任」との声が多く聞かれた。経営者としての実績は折り紙付きで、「人の話に耳を傾け温和な笑みを絶やさない」(住友化学社員)などと人柄への評価も高い。しかし停滞感を強める国内経済や米中対立など、日本企業を取り巻く環境は厳しさを増す。政策提言集団として日本をリードしていく上で、新たな財界総理の前には高いハードルが待ち受けている。

 十倉氏は昭和49年に住友化学工業(現住友化学)に入社、早くから次代を担う逸材といわれてきた。経営企画畑が長いが、現場や海外駐在の経験もあり、平成30年に死去した米倉弘昌経団連元会長(住友化学元会長)はたびたび要職に起用してきた。

 社長時代は、懸案だったサウジアラビアにある石油化学コンビナートの安定操業にめどをつけ、29年度には過去最高益を達成。後半は投資を増やすなど攻めの姿勢もみせた。

 一方で十倉氏は環境問題にも深い関心を示し、対応をいち早く強化してきた。10日の会見に同席した経団連の久保田政一事務総長は、中西宏明現会長による指名理由を「(住友化学が)気候変動でいろいろ取り組まれているので推薦したいということだった」と説明した。

 だが環境問題以外にも、新型コロナウイルス禍で傷ついた国内経済の立て直しをはじめ課題は山積している。特に海外では米中対立や日韓関係悪化、ミャンマー問題など、日本企業にも影響を及ぼしかねない問題が頻発。直近は中国の新疆ウイグル自治区における強制労働問題に対する欧米の批判が高まっており、一部日本企業も対応の甘さが指摘される。十倉氏は「自由民主主義、法の支配、人権を普遍的価値として持つスタンスは微動だにしない」と言い切る一方、「安定した日中関係の構築は重要」とも強調した。だが、時に毅然(きぜん)とした対応を迫られることも想定される。

 中西氏はサステナブル(持続可能な)資本主義を掲げた「新成長戦略」を打ち出し、菅政権と密接に連携してきた。十倉氏にはこれまで以上に発言力を高めることが求められる。(井田通人)

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