金融

政投銀が飲食・宿泊支援強化 経営の健全性維持課題

 新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、日本政策投資銀行が飲食・宿泊業への金融支援を強化している。政府系金融機関として危機時には民間銀行が手を出しにくい融資でも手掛ける一方で、融資先が破綻すれば国民負担が生じる恐れもあり、経営の健全性維持が課題となっている。

 政府は3月、営業時間短縮要請などで特に負担を強いている飲食などの業種に対し、支援拡充が必要と判断し、緊急で金融支援策をまとめた。

 政投銀は支援策に基づき、飲食・宿泊業などの大企業を対象に、一部が借金ではなく資本と見なされる「劣後ローン」について、業績や規模を問わず、金利を当初3年間、年1%に引き下げると発表。劣後ローンは返済の優先度が低く、リスクが大きいため、金利を4~7%と高めに設定するのが一般的だが、破格の水準に引き下げた。

 居酒屋「和民」などを展開する外食大手ワタミは劣後ローンを中心に、100億円規模の融資を要請。他にも上場大手の飲食チェーンからの申請が「列を成している状態」(政投銀関係者)という。

 ただ3度目の緊急事態宣言発令を受け、ブライダル関連や商業施設からも問い合わせが相次ぎ、線引きに苦慮している。政府は新たに旅行業も支援対象にする方針で、旅行大手JTBが政投銀に資本支援を打診している。

 今回の支援策は時限的措置との位置付けだが、政投銀幹部は「市場や競争をゆがめかねない劇薬は長くは続けられない」と懸念を示す。別の職員は「積極的に支援したいが、融資が焦げ付くのは金融のプロとして許されない」と、大胆な支援が不良債権の急増につながることに警戒心をのぞかせた。

【用語解説】日本政策投資銀行

 旧日本開発銀行と旧北海道東北開発公庫が1999年10月に統合して発足。政府が全額出資している。同じ政府系金融機関でも日本政策金融公庫や商工中金が個人事業主や中小企業向けを主に手掛けるのに対し、大企業向けの資金供給やファンドへの投資に注力している。2020年9月末の貸出金残高は14兆3767億円。

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