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ワクチン開発競争 既存品拡大で大規模治験困難

 世界で新型コロナウイルスワクチンの開発が加速する中、十分な効果が得られず実用化を断念し、淘汰(とうた)されたワクチン候補も出ている。既存のワクチンが出回り大規模な臨床試験(治験)が難しくなりつつあり、後を追う日本の製薬会社は一層不利になりそうだ。

 カナダのマギル大の調査によると、7日時点で5つのワクチン候補がこれまでに開発競争から脱落した。

 英国の大学インペリアル・カレッジ・ロンドンは今年1月「既に複数のワクチンが実用化されている」として早期開発の断念を発表した。

 米製薬大手メルクも他のワクチンより免疫反応が劣るとして開発を断念。接種を加速させたい米政府から資金を調達し、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の生産協力に転じた。

 オーストラリア政府への供給に合意していた同国クイーンズランド大などによる開発では、治験参加者の一部がエイズウイルス(HIV)検査で、感染していないのに陽性反応が出た。健康被害はないが、開発は昨年12月に中止された。

 臨床試験では健康被害の懸念が付きもので、国際団体「感染症流行対策イノベーション連合」は、「複数のワクチンが存在する中、新たな治験は倫理的に難しくなるのでは」と指摘。

 開発を進める塩野義製薬(大阪市)の担当者も、最終段階の大規模な治験の実施は「参加者確保の観点から大変難しくなることが想定される」と語る。(共同)

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