金融

「大災害債券」倫理性で期待 人道支援提供、ESG投資の主流へ

 ハリケーン、地震、感染症など自然災害リスクを証券化した大災害(カタストロフィー)債券(CAT債)が社会的責任投資における次のフロンティアとして期待を集めている。

 CAT債は倫理的な取り組みを誇示したい投資家の間で支持が広がっている。支持者は同債券が人道支援を提供し、保障費用を分散できる点で目的にかなっていると指摘する。

 社会課題の解決に使途を限定して発行するソーシャルボンド(社会貢献債)の世界市場が活況を呈し、新しい資産クラスが急増する中、CAT債はその小さな一角を占めるにすぎない。欧州連合(EU)では社会貢献債の販売額が記録的に増加したことにより、今年の倫理的債券の発行額が同域の債券市場全体の約5分の1以上を占めている。

 資産運用会社のフェルマット・キャピタル・マネジメントの上級アンダーライター兼新市場ディレクターのジョアンナ・シロカ氏は「災害時における信頼性の高い緊急融資手段は社会にとって非常に重要なツールだ。ここ1年間で末端投資家から保険リンク証券におけるESG(環境・社会貢献・ガバナンス)投資の意義を理解したいとの問い合わせが増加している」と指摘する。

 ブルームバーグのまとめによると、これまでのCAT債の発行額は合計363億ドル(約3兆9370億円)で、2兆ドル以上の規模を持つ倫理的債券市場に占める割合はごくわずかだ。しかし、欧州投資信託協会(EFAMA)の報告書によると、昨年の欧州の従来型ファンドの純資産額の増加率は5%未満にとどまるのに対し、ESGファンドの純資産額は1兆2000億ユーロ(約158兆円)と37%増加する中、CAT債投資の可能性は急速に高まっている。

 他の金融商品の値動きとの相関性が低く、高い利回りが得られる商品としてCAT債は投資家に人気を博し、今やESG投資の主流となりつつある。デンマーク赤十字社は3月、CAT債として初の試みとなる火山災害を対象とした債券300万ドルを発行した。

 この取引を仲介した保険業界団体のハウデン・グループ・ホールディングスのデビッド・ハウデン最高経営責任者(CEO)はCAT債を「人道的なサービス」と称し、「この種の債券を他の地域で再現することは世界にとって有益だ」と指摘した。(ブルームバーグ Tasos Vossos)

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