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GW減便「効果」より「混乱」 かえって密に、結局打ち切り

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴う国や自治体からの要請を受け、首都圏と関西の鉄道各社がゴールデンウイーク(GW)前後の期間に減便する異例の対応を取った。外出自粛を促す意図だったが、運休した列車の前後が混雑する皮肉な結果もみられ、JR東日本は予定を1日残して減便を打ち切った。専門家は「人出抑制に効果はなかった」と言い切る。

 連休の谷間の4月30日朝、JR新宿駅は多数の乗客が行き交った。50代の男性会社員は「月末の平日は、事務処理の締め切りがあって休めない」と苦笑した。

 東京都の小池百合子知事が鉄道各社に減便を要請したのは、GW前後の平日に休暇取得を促して人出を減らす狙い。平日に土休日ダイヤを適用することなどを求めた。

 だが、平日朝のピーク時の輸送力を10とすると、土休日は5~7程度しかない。JR東は「混雑リスクを避ける」として、平日ダイヤを基に一部を運休する形で減便。首都圏7路線で、朝の通勤時間帯の運行本数を約2割減らすなどした。

 首都圏の大手私鉄の多くは小幅な変更で、朝に数本を運休する程度にとどめた。主力路線を削減しない社や、発着駅を変えて部分運休にするだけの社も。「他社との直通路線を短期間で変更するのは難しい」「苦肉の策」との声が複数の私鉄関係者から聞かれた。

 都営地下鉄を運行する都交通局すら「大幅な削減はできない」として4路線中、他社線への乗り入れがない大江戸線を一部減便しただけだった。

 首都圏に比べ相互直通運転が少ない関西では、大手私鉄を中心に大胆な減便や終電繰り上げに踏み切った。京阪電気鉄道は終電を繰り上げ、土休日は終日、運転本数を約2割削減。JR西日本も東海道線の新快速の本数を減らすなどした。

 結果はどうだったか。JR東では減便初日の4月30日、朝の山手線の乗客がGW前の同26日と比べ、7~8割に減少。人の流れが抑えられたかに見えた。だが5連休明けの5月6日朝は、ほぼ変わらない水準に戻った。運休列車の前後が混み合い、乗車率180%に達した路線もあったため、JR東は急遽(きゅうきょ)7日の減便を取りやめた。小幅な変更とした首都圏大手私鉄では目立った影響はなく、7日も予定通り減便した。

 中央大の後藤孝夫教授(交通経済学)は「テレワーク強化などの対策とセットにしないで減便しても混雑を招くだけで、コロナ感染防止に逆効果と実証された」と指摘。「関西では混乱はないが、外出自粛を後押ししているとも考えにくい。国や自治体はやり方を考え直すべきだ」と話している。

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