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LINEも楽天も…頻発する「中国リスク」に日本のIT企業が備えるべきこと (1/3ページ)

 ■「日の丸プラットフォーム」の前途に暗雲

 LINEの利用者情報が中国の委託企業から閲覧できた問題で、総務省は4月26日、「(4月19日にLINEから提出された)報告書に基づく限りにおいては、通信の秘密の侵害又は個人情報の漏えい等があったとは確認できなかった」としながらも、「安全管理措置等や利用者に対する説明に関して一部不十分なところがあったと認められる」として、情報管理が不適切だったことに対してLINEに行政指導を行った。

 総務省はさらに、5月31日までに安全管理措置やガバナンスの強化などについて講じた措置の状況報告を求めている。

 その直前、4月23日には政府の個人情報保護委員会がLINEは個人情報の管理が不十分だったとして行政指導した旨を発表している。

 だが、この程度の処分で本当に安心できるのかと言えば、利用者の不安はとてもぬぐいきれない。

 一方、中国の巨大IT企業が大株主になった楽天には、日米両国が情報漏洩への警戒を強めている。

 個人情報の「海外流出リスク」は、知らない間に自分のデータが海外からのぞかれる「気持ち悪さ」にとどまらず、国家レベルの情報安全保障に影響が出かねないとの懸念が広がってきた。世界を席巻する巨大IT企業の対抗軸として期待される「日の丸プラットフォーム」の前途には暗雲が漂っている。

 ■「LINEを使うのは止めた」という利用者が続出

 「LINEは、個人情報がだだ洩れになりかねないので、もう使うのは止めました。これからは通信会社のショートメール(SMS)でやりとりしましょう」

 3月に「LINE疑惑」が発覚して以降、友人や知人からLINEの利用を見合わせる通知が相次いでいる。

 自分のさまざまな情報が中国にすでに把握されているのではないか、いまも海外に流出し続けているのではないか……。個人情報の海外流出に漠然とした不安を感じるLINEの利用者がいまも増えつづけている。

 利用者が感じる気持ち悪さを突き詰めると、一大プラットフォームにもかかわらず個人情報の管理が甘い「情報漏洩リスク」と、厳しい情報統制を敷く中国当局に個人情報が流れかねない「中国リスク」が二重写しになる。

 ■1億6800万人を超える利用者情報の「海外流出リスク」

 LINEの利用者は、国内だけで月間約8600万人、世界では台湾、タイ、インドネシアを中心に1億6800万人を超える。

 2011年6月のサービス開始から、ちょうど10年。コミュニケーションだけでなく、ニュースや音楽配信、旅行や買い物、QRコード決済や保険などの事業を次々に展開。企業内での業務連絡にも使われ、最近は政府の自殺対策相談、自治体の住民票申請などの諸手続き、新型コロナウイルス感染症に関する国や自治体の通知など公共サービスにも幅広く利用されるようになった。

 いまや、暮らしの隅々にまで浸透する社会インフラに進化したのである。

 しかし、いま露見した利用者情報の「海外流出リスク」の危うい実態は、利用者の不信感を一気に増大させた。

 ■「中国人スタッフが個人情報を閲覧」と朝日新聞が第一報

 あらためて、「LINE疑惑」の経緯を振り返ってみる。

 一報は3月17日。朝日新聞が一面トップで「LINE個人情報保護に不備 中国委託先で閲覧可に」と報じた。

 報道によると、LINEの情報管理システムについて、2018年8月から2021年2月にかけて、中国にある関連会社の中国人スタッフが日本のサーバーに保管している利用者の氏名や電話番号、メールアドレスなどの情報を閲覧できる状態になっており、4人が少なくとも32回アクセスしていたという。

 また、個人情報保護法は、個人情報の国外移転や海外からのアクセスには利用者の同意を得るよう定め、個人情報保護委員会は移転先の国名を明記するよう求めているが、LINEのプライバシーポリシーは「第三国に移転することがある」としただけで、「中国」とは明記していなかった。

 同日、LINEは、朝日新聞の報道を追認。さらに、LINEの利用者間でやりとりしたすべての画像や動画データを韓国内のサーバーに保管していることを明らかにした。

 3月23日になって、出澤剛社長が記者会見し、情報管理の不備を陳謝。中国からの利用者情報へのアクセスをすでに完全に遮断したと言明し、韓国で保管している画像などのデータは9月までに国内に移転する方針を表明した。これまでに情報漏洩は確認されていないという。また、2021年3月に経営統合したばかりの、ヤフーも傘下にもつ親会社のZホールディングス(ZHD)は、「LINE疑惑」を検証する第三者委員会を設置した。

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