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ソフトバンクグループ最終益国内最高 不安要素多く「実力以上」の声も

 最終利益が約5兆円と国内企業として歴代最高をたたき出したソフトバンクグループ(SBG)。だが孫正義会長兼社長が成長の柱に掲げる人工知能(AI)や個人情報に対する規制強化の動きも出ており、行く先は順風満帆とはいえない。各国の金融緩和政策による株高を背景にした「最大瞬間風速にすぎない」との指摘も根強く、安定的に利益を上げる“真の”投資企業になるには道半ばだ。

 「まだまだ物語は続いている。AI革命は始まったばかり」

 孫氏は12日の決算会見でこう強調した。「昨年を上回る上場の準備が進んでいる」とも述べ、AI関連への投資を加速する方針を改めて鮮明にした。

 AIをめぐっては欧州連合(EU)欧州委員会が4月、利用に関するEU初の規制案をまとめた。SBGが注力する金融分野では、ローンの信用審査での利用は「高リスク」と分類され、事前審査などが義務付けられる。AIが分析するビッグデータの基となる個人情報の保護についても世界的に規制が強化される方向にある。孫氏は「品行方正なルールの中で(AIの)技術革新は続く」とした。

 SBGの利益の大半は投資先の評価益だ。世界的な株高を追い風にした好業績に市場からは「今回は実力以上」との声もある。

 各国の金融緩和の転換や米中対立など、株高を脅かす不安要素はさまざまある。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「中国リスクが高まる夏以降、株価は下落局面を迎える可能性がある」と指摘する。

 その中国リスクの渦中にあるのが中国インターネット通販最大手、アリババ集団だ。アリババ株はSBGの時価純資産の約4割を占める。

 アリババ傘下で電子決済サービス「アリペイ」を運営するアント・グループは昨年11月、中国の金融当局によってIPO(株式公開)を上場直前で中止に追い込まれた。4月には経営体制を見直すよう行政指導も受けている。アリババにも、独占禁止法違反で約182億元(約3080億円)に上る過去最大の罰金が科せられるなど、当局と緊張関係にある。

 好業績が報じられた12日のSBG株は売りが優勢で、株価は前日比328円安の9180円だった。会見で「たまたまが重なった」と珍しく謙虚な姿勢をみせた孫氏。継続的な利益を生み出せるか手腕が試される。(高木克聡)

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