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郵便を「稼げる」事業に 日本郵政、中期計画発表も信頼回復不可欠

 日本郵政が14日発表した令和7年度までの中期経営計画は、金融2社に頼る収益構造から脱却し、郵便局のデジタル化などで郵便事業を稼げる事業へと変革させることを強調する内容となった。ただ、相次いだ不祥事でグループの信頼は地に落ちている。経営陣が描くような成長を実現するには不正の再発防止に向けたガバナンス(企業統治)改革を並行して実行する必要がある。

 自動配送ロボットが郵便局の集配所を出発し、人の手を借りずに公道を走行する。建物の廊下を移動する別のロボットは指定された部屋の前で止まり、人間に荷物を渡した。場面が切り替わり、人が入れないような深い山間部をドローンが飛んでいく…。会見では日本郵政が目指す将来の郵便事業の姿が短い動画で示された。

 「全国2万4千の郵便局ネットワークを捉え直し新商品やサービスを創造する」。日本郵政の増田寛也社長は記者会見でこう述べた。日本郵便は郵政民営化法に基づき全国一律のサービスを展開している。不採算地域も多く経営上はお荷物である郵便局を、サービスの多角化によって強みへと生まれ変わらせる狙いだ。

 目指すのは地域拠点としての郵便局像の実現だ。全国にある郵便局でスマートフォンの契約や行政手続き、相続などの金融コンサルティングができるようになれば利便性や地域のインフラとしての重要性は格段に向上する。持て余していた「2万4千」という拠点数も、他の金融機関などにはない圧倒的な顧客接点として大きな武器に変わる。

 ただ、顧客の信頼回復が途上にある中でこうした戦略を実現できるかは疑問だ。信頼できない企業に客は戻らないからだ。かんぽ生命保険による不正販売問題では高齢者を中心に保険料の二重徴収などの被害が広がり、3300人超が処分を受けた。その後発覚したゆうちょ銀行の口座から不正に貯金が引き出された問題では、対応が遅れ被害が拡大。相次ぐ不祥事の裏側には根深い顧客軽視の姿勢がある。

 保険の不正販売問題の背景には基軸である郵便事業が少子高齢化で先細る中、稼ぎ頭である金融事業に負担が集中しているグループのいびつな構造があった。結果、過度なノルマを押し付けられた郵便局員が不正に手を染めることになった。増田氏は「顧客本位のサービスを提供するには組織風土改革にも取り組む必要がある」と強調する。経営陣の手腕が問われる。(林修太郎)

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