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関西私鉄4社 黒字転換見込むも厳しい道のり 手探りの改革続く

 関西の大手私鉄4社の令和3年3月期連結決算が14日、出そろった。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛の影響で、主力の鉄道事業の旅客が大幅に減少し、4社すべてが最終損益で赤字に転落。近鉄グループホールディングス(HD)は601億円の赤字(前期は205億円の黒字)で会社設立以来、最大の赤字額となった。

 政府の緊急事態宣言に伴う休業要請を受けた商業施設、宿泊客が減ったホテルなど関連事業の業績悪化も収益を圧迫した。

 全社が最終赤字という厳しい結果になった関西の大手私鉄4社の令和3年3月期連結決算。4年3月期には全社が黒字転換を見込むとはいえコスト削減効果が大きく、各社は主力の鉄道事業でコロナ禍前の水準には戻らないとみる。新たな収益源の確保に模索が続く。

 「通勤などの定期利用者数は、もう以前の水準には戻らないだろう」

 京阪ホールディングス(HD)の三浦達也専務執行役員は厳しい見通しを示す。在宅勤務の定着など、事業環境の変化が要因だ。

 各社はコスト削減を強化。近鉄グループHDはホテルなどの売却に加え、グループ各社で人員削減を進める。阪急阪神HD、京阪HDも一部ホテルの営業終了などを決めた。南海電気鉄道も人件費の見直しや外注費全般の削減を進める。

 各社はコロナ禍でも比較的堅調な不動産事業に力を入れる。阪急阪神HDは「需要の高い沿線のマンション開発」(大塚順一執行役員)を強化。南海電鉄は大阪市中心部でのオフィス開発や茨木市内の物流施設の拡充を進める。

 ただ不動産以外の分野では収益の柱は見つからない。近鉄グループHDは14日、スマートフォンなどデジタル技術を活用し、鉄道の予約や物品販売などを一元的に行う新規事業を行うと発表。京阪HDは、インターネットを活用した有機野菜の通販事業が好調だったとしているが、収益への貢献はまだわずかだ。

 黒字見込みとなった4年3月期の業績見通しも、現在の3回目の緊急事態宣言の影響などを盛り込んでいない企業もあるのが実情だ。変異株の流行など、コロナ禍の影響がさらに長期化すれば黒字転換の実現も危ぶまれる。(黒川信雄)

  

 近鉄グループHDは14日、2025年の大阪・関西万博で会場となる夢(ゆめ)洲(しま)(大阪市此花区)と奈良方面などを直通で結ぶ新型車両の導入について、万博前の開業を断念すると正式に表明した。万博との相乗効果を狙っていたが、新型コロナウイルスの影響で夢洲への統合型リゾート施設(IR)の誘致が遅れているため。小倉敏秀社長は「万博以後にならざるを得ない」と述べた。

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