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米の石油パイプライン攻撃で大混乱 エネ・航空、行楽シーズン個人消費に打撃も

 米石油パイプライン運営大手コロニアル・パイプラインに対するサイバー攻撃を受け、米北東部を中心に燃料の供給不安が広がっている。ガソリンスタンドではパニック買いが起きガソリン価格は急騰。航空会社の一部はジェット燃料の不足で運航計画の変更を余儀なくされた。行楽シーズンの個人消費への影響を懸念する声も出ている。

 週内全面復旧目指す

 コロニアルは10日、週内にパイプラインによる燃料輸送の全面復旧を目指すと表明。一部パイプラインは「既存在庫が利用可能な限られた期間」で操業を再開したと説明したが、ニューヨーク市場向け供給分の最大3倍近くの輸送が可能なテキサス州南部からノースカロライナ州までの区間は停止したままだ。同社がパイプラインの操業を再開するまでの間、地域の貯蔵タンク内にある在庫で需要を十分に満たせるかは不透明だ。(【米パイプラインの稼働再開】サイバー強化の大統領令署名)

 先週末から続く操業停止により、米東海岸のガソリンスタンドではガソリンが不足し始めている。ノースカロライナ州からフロリダ、アラバマ州に至る地域ではパニック買いも起きており、複数のガソリンスタンドで売り切れ。関係者によると、フロリダ州タラハシーでは、少なくとも2つのガソリンスタンドが完全に在庫切れとなった。

 米金融大手シティグループは10日のリポートで「米東海岸は一時的だが深刻な燃料不足に陥るリスクにさらされている」「今回の事件は供給リスクの新たな原因を浮き彫りにした」などと指摘。新型コロナウイルス禍からの消費回復に伴い夏季のガソリン需要は記録的な水準に達する可能性もあり、ガソリン価格は1ガロン=3ドルを突破すると予測した。

 長距離便に寄港地

 航空業界にも余波が広がっている。米アメリカン航空はノースカロライナ州シャーロット発の長距離便2便の航路に寄港地を追加した。ホノルル行きの便はダラス・フォートワース国際空港に寄港し、乗客は燃料満タンの航空機に乗り換え目的地に向かう。他方、ロンドン行きの便はボストンに寄港し、大西洋横断前に燃料を補給する。

 米政府は燃料不足に対応するため、国内の燃料輸送に関する規制を一部緩和した。米石油取引業者は欧州からのガソリン輸入に動いている。デンマークの船舶会社トーラムによると、欧州から米国の大西洋岸にディーゼル油やガソリンを輸送するため、4隻のタンカーが暫定的にチャーターされた。

 今回の攻撃は米国のエネルギー産業が夏のドライブシーズンによる燃料需要の増加に対応しようとした矢先に起きた。足元の混乱が長期化すれば、ガソリン小売価格の高騰につながるほか、世界的な商品高を背景としたインフレ懸念がさらに強まる可能性がある。

 エネルギー分野のコンサルティング会社クリアビュー・エナジー・パートナーズは「コロニアルのパイプライン稼働停止は、回復途上にある米経済にとって重要な夏のドライブシーズン開始時期と重なった。このため、米議会ではまもなく“責任のなすり合い”が始まることが予想されるほか、混乱の長期化によりガソリン小売価格が急騰すれば政策介入の可能性も強まる」とみている。(ブルームバーグ Joe Carroll、Andres Guerra Luz)

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