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パナソニック津賀社長、最後の決算 収益柱見いだせず次期社長に後を託す

 パナソニックが5月10日に発表した令和3年3月期連結決算は、売上高が前期比10・6%減の6兆6987億円、最終利益が26・9%減の1650億円だった。売上高が7兆円を下回るのは平成8年3月期以来、25年ぶり。6月に社長交代を控えトップとしては最後の決算会見に臨んだ津賀一宏氏は、赤字事業からの撤退などで経営体質の改善を進めてきたが、収益の柱となる事業を見いだせないまま、次期社長の楠見雄規最高経営責任者(CEO)に後を託す形となった。(山本考志)

 「9年間を無事にやり終え、バトンを渡せた」。10日の会見で津賀氏は、平成24年の社長就任以降の任期をこう振り返った。

 津賀氏は就任直後、プラズマテレビ事業からの撤退で巨額赤字から業績をV字回復させ、近年は半導体や液晶パネル、太陽電池などから相次いで撤退し経営体質を強化。看板だったテレビ事業では生産委託のため競合の中国メーカーと交渉中で、リストラには一定の成果を出した。

 一方、成長を目指した住宅事業や自動車向け事業は収益の柱とならず、2千億円超を投じて北米工場を稼働させた米テスラ向け電気自動車用電池事業は令和3年3月期にようやく黒字化した。売上高はコロナ禍本格化前の令和2年3月期で7兆4906億円と、就任した平成25年3月期の7兆3030億円から大きく伸ばすことはできなかった。

 そうした中打ち出したのが来年に控える持ち株会社への移行だ。各事業を管轄する事業会社に権限を委譲して責任を明確にし、研究開発や人材の育成・獲得などを強化する。

 また先月には物流管理などのソフトウエアを手掛ける米ブルーヨンダーに約7500億円を追加投資して完全子会社化することを発表。平成23年に約8千億円で三洋電機とパナソニック電工を完全子会社化して以来の規模で、次期社長の楠見氏が基幹事業に位置付ける法人向け業務効率化サービスを強化する狙いだ。

 流通科学大の長田貴仁特任教授(経営戦略論)は「パナソニックは日立や東芝などと同様にソフトウエアを収益の柱とする事業構造に変えて収益性を高めようとしているが、この領域は技術革新が目まぐるしく競争も激しい。モノづくりの技術を引き続き重視しながら融合させていく戦略が求められる」と指摘している。

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