金融

県内ライバル、窮余の統合 地銀が逆風下に生き残り懸ける 

 同一県内のライバルとして長年しのぎを削ってきた青森銀行とみちのく銀行が、生き残りを懸けて手を組む。超低金利や地域経済の縮小など厳しい経営環境が決断を迫った。SBIホールディングスによる地銀連合拡大などの動きが入り乱れる中、窮余の策は収益強化や顧客サービス維持につながるのか、今後の再編の試金石となる。

 特例法も背中押す

 「最も地域のためになる」(みちのく銀の藤沢貴之頭取)「最良な選択と確信を持っている」(青森銀の成田晋頭取)。両行トップは14日の共同記者会見で、笑顔で肘をタッチし友好ムードを演出。古くからの競争関係を知る人にとっては信じられない光景だった。

 地元の老舗企業や自治体との取引が主体の青森銀に対し、みちのく銀は個人や中小企業をターゲットに「家庭の銀行」をうたい「成り立ちや目線が全く違う」(元幹部)。水と油の関係だった両行の統合協議が報じられた昨秋以降、地銀との連合による「第4のメガバンク構想」を掲げるSBIも、みちのく銀に資本業務提携を持ち掛けたとされる。

 最終的に青森銀を選んだ理由について藤沢頭取は「地域を一番知っているのは青森銀であり、みちのく銀だ」と語った。

 統合の背景には、リーマン・ショック後に受け入れた公的資金の負担がある。2009年に200億円の注入を受けたみちのく銀は24年の返済期限に向けて利益を積み上げてきたが、返済に回せば企業への貸し出し余力を失い、成長戦略を描けないジレンマに陥った。

 新型コロナウイルス対策で急増した融資が将来的に不良債権化する懸念も浮上。同一地域の地銀の合併には独占禁止法を適用しない特例法が昨年11月に施行されたことも、背中を押した。

 動き広がる可能性

 14日には、福井県の福井銀行が福邦銀行を子会社とすると正式発表。こうした統合・合併は競争を阻害するとの見方が以前は根強かったが、今後は他の地域でも動きが広がる可能性がある。

 昨年10月に十八銀行と親和銀行が合併し、十八親和銀行が誕生した長崎県。競争がなくなることで貸出金利の上昇といった弊害が懸念された。

 長年の取引先である地元の小売り企業には、2行の融資枠を合算し金利は低い方に統一する措置が取られ、企業幹部は「現段階で不利益はない」と語る。ただ「銀行の経営体制が変わった場合や、新たに借り入れをする際の対応は未知数だ」と不安も口にした。

 再編に踏み込んだ地銀は収益改善へ店舗統廃合などの合理化が避けられず、顧客サービスとの両立が課題となる。日本総合研究所マクロ経済研究センターの石川智久所長は「統合でできた体力を地域や顧客に還元するのが大事だ。昔のような『殿様商売』に戻っては意味がない」と指摘した。

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