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中小は販路開拓に知恵絞りトライを

 リディアワークス代表取締役・小林史人

 「良い製品をつくったけれど、売り先がない」-。多くの中小製造事業者が直面する課題だ。新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が初めて出されたのは2020年4月。当社は、それと並行して銅の除菌フィルム「キルウイルス」の開発に着手し、宮崎大学での実証を経て同10月に発売した。われながら、スピード感を持って開発できたと思う。しかし、それまでに一般消費者向け商材の販売先はわずかだったため、売り先の確保に苦しんだ。

 テレビCMを流せるような予算はない。クラウドファンディング(インターネットを活用した不特定多数の人からの資金調達)の購入型から始め、プレスリリース、広告やSNS(会員制交流サイト)、さらにはEC(電子商取引)サイトを活用して販路をほぼゼロから開拓した。製品開発と同様に、販路開拓も知恵を絞り、トライしないと何も進まない。

 クラウドファンディングではマスクケースを販売し、多くの人に支援してもらった。プレスリリースやSNSを活用した情報発信を行い、目標金額を達成することができた。続いて、ダイレクト販売ができるECサイトを立ち上げ、全ての商品を販売した。同時に取り組んだのは企業間取引の販路開拓だ。商品の提案から性能提示、類似製品との比較と優位性提示、価格交渉などを行った。その多くは提案のみで終わったものの、顧客がファンになってくれた企業とは取引が始まった。プレスリリースを見て問い合わせてくれた企業は、既に商品をリサーチしてくれており、取引開始はスムーズだった。

 当社の主要な客層は広告代理店やデザイン事務所、広告主だから、除菌フィルムは縁遠い。しかし、多くの企業が一斉にマスクや消毒液などの感染対策製品を開発していた。「優れた抗ウイルス性能を持つ除菌フィルムによって、新型コロナの感染拡大を抑えたい」と急ぎ、準備が整わないまま見切り発車で発売した面も否めない。

 ほとんどの抗菌・抗ウイルス製品にはウイルス99%減少と記載され、ウイルスと細菌は別物なのに、抗菌製品で細菌99%減少と記載されているものもある。その多くは24時間後の試験データだ。一方「キルウイルス」は、わずか15分で99%以上ウイルスが減少し効果が持続する。販売面では商流に強い大手企業に負けているものの、類似製品をリサーチした後に問い合わせをしてくれる人が多くなってきた。製品の支持が着実に増えていることに感謝しつつ、普及に努めていきたい。

【プロフィル】小林史人

 こばやし・ふみと 本所高卒。山崎組、京王運輸、プロラボを経て2003年に家業のコバヤシ看板入社。10年リディアワークスを設立。誰でも上手に張れて環境にも優しい布看板「ルーファス」を開発し2019グッドデザイン賞ベスト100、2020年はばたく中小企業300社(経産省)選定。20年には除菌フィルム「キルウイルス」を開発し販売会社ウイルスケア設立。42歳。東京都出身。

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