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建設石綿の国の対策違法 最高裁個人事業主への責任認定、メーカーの一部責任も

 建設現場で建材に含まれるアスベスト(石綿)を吸い、肺がんや中皮腫などを発症したとして、元労働者や遺族らが国や建材メーカーに損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は17日、国の対応は違法だったとして賠償責任を認めた。メーカーの責任については被害者の作業内容や期間などを踏まえて個別に審理する必要があるとした上で一部を認めた。

 平成20年以降、各地で集団訴訟が起こされ、弁護団によると今年4月時点の原告は計約1200人。全国で起こされた「建設アスベスト訴訟」の最高裁判決は初めてで、責任の範囲と対象について統一判断が示されたことで、労働者らの救済が一気に前進しそうだ。

 第1小法廷は、昭和50年10月から平成16年9月までの間、石綿建材や建設現場に石綿の危険性を示す警告表示のほか、事業主に防塵(ぼうじん)マスクの着用を義務づけるべきだったと指摘。規制権限を行使しなかった点を「著しく合理性を欠く」と述べ、国がこれらの規制をしなかったのは違法で、個人事業主である「一人親方」を含む屋内労働者らに対する賠償責任があると認めた。

 判決があったのは横浜、東京、京都、大阪の各地裁に起こされた4訴訟。いずれも5裁判官一致の結論。

 第1小法廷は昨年12月以降、4件の訴訟の決定で国やメーカーの上告を退け一部の賠償命令が確定したが、理由を示していなかった。

 判決を受けて、田村憲久厚生労働相は「国の責任が認められたことを重く受け止めている。責任を感じ深くおわび申し上げる。ほかに係争中の原告との早期和解や、未提訴の被害者などに対する補償について、早期の解決に向けて対応したい」との談話を出した。

■アスベスト(石綿) 極細繊維からなる天然鉱物。高度経済成長期に建材や断熱材などで重宝されたが粉塵(ふんじん)を吸い込むと肺がんや中皮細胞のがん「中皮腫」を引き起こすことがわかり段階的に規制された。平成17年には兵庫県尼崎市のクボタ旧神崎工場の従業員や周辺住民に健康被害が出ていたことが発覚、18年に石綿健康被害救済法が施行。製造と使用も全面禁止された。石綿工場での被害をめぐる「泉南アスベスト訴訟」は、26年の最高裁判決で国の責任が確定した。

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