テクノロジー

台湾サイバーリンク、3年200件成約目標 高精度の顔認証で日本開拓

 台湾IT企業のサイバーリンクが、独自の人工知能(AI)顔認識技術「Face Me(フェイス・ミー)」の日本市場での本格展開に乗り出した。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策などで三井物産の物流子会社が活用している検温システムにこのほど同技術が採用された。この実績をてこにオフィスや工場、医療機関の勤怠・健康管理への採用を働きかけていくほか、金融機関向けのオンライン本人確認(eKYC)分野への提案も進め、今後3年間で200件の成約を目指す。

 フェイス・ミーはAIのディープラーニング(深層学習)技術を使い1秒間に10フレーム以上の認証ができる高速認識速度と、データベース上の膨大な登録者から本人をほぼ完全に認証する高い認識精度を実現。米国立標準技術研究所(NIST)が2月に発表した顔認証精度ランキングで世界6位にランクインした。

 また認証角度の広さに強みがあり、左右は60度、上下は50度まで認識が可能。サイバーリンク日本法人の萩原英知バイスプレジデントは「業界で最も幅広い角度。複数の対象者が歩行中に、カメラを見ずに斜めや下を向いていても、高い精度で認証できる」と話す。

 こうした性能が評価され、三井物産グローバルロジスティクスが従業員の健康管理に使用しているサーモグラフィーカメラ検温システムに、ウォークスルー型の顔認識機能として採用。これにより、システムを使っている同社の本牧第一流通センター(横浜市)では、朝の出勤時など人が集中する時間帯にも、カメラの前に立ち止まらなくても複数の従業員の認証とともに顔付近の表面温度を感知できるようになったという。

 本人認証はセキュリティーの観点から今後、パスワードレス化が進み、生体認証が普及していくのは確実とみられる。なかでもコロナ禍では接触しない認証方法が求められ、カメラから離れた場所で複数同時認証もできる高精度の顔認証は、「生体認証の主流になる」(業界関係者)との見方が強い。

 この点、フェイス・ミーはeKYC分野のなりすまし防止にも強みを発揮する見込みだ。例えば、フェイス・ミーは旅券(パスポート)のICチップに記録された情報を瞬時に読み取り、スマートフォンのカメラに映された顔とチップ内の顔写真を照合して本人確認できる。

 サイバーリンクは、こうした負荷のかかる情報処理を、ビデオ編集ソフトなどで日本国内販売シェアトップを誇る技術を生かして一般的なパソコンやスマホなどで可能にしており、勤怠管理のほか、公的機関や金融業界の認証システム、イベントのチケット代替なども視野に、幅広い分野へ採用を働きかけていく方針だ。

【用語解説】サイバーリンク 1996年に台湾で設立されたコンピューターソフトウエア会社。デジタルメディアの作成、再生、共有などのアプリケーションの開発を行っている。日本法人は98年に設立、マルチメディア関連ソフトウエアの開発を手掛け、動画再生ソフト「PowerDVD」は国内販売で13年連続シェア1位。ビデオ編集ソフト「PowerDirector」は同5年連続1位。

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