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観客数で政府と専門家攻防、見通せない「五輪最終形」

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は18日、東京五輪・パラリンピックについて「無観客が望ましい」とする提言をまとめた。だが、大会組織委員会は、政府の大規模イベントに関する制限を適用し、観客数を「最大1万人」とする方向で、提言との溝が際立っている。政府などと専門家との攻防は今後も続くとみられ、大会の最終形は見通せない。(坂井広志、森本利優)

 尾身氏は18日、日本記者クラブ主催のオンライン会見で「大会開催に伴う人流、接触機会増大のリスクがかなりある。これから東京などでリバウンド(感染再拡大)が起こり得る。事態が起きてからでは遅い」と訴え、政府方針より厳しい基準の採用を求めた。

 提言を受け、組織委は同日、コロナ対策について助言する専門家会議を開いた。競技会場の内部を「守備範囲」とする組織委だが、開催に伴う人流増大リスクへの問題意識も強い。

 もっとも、チケットの購入状況から、都内の会場を訪れる観客は、1日最大約22万5千人と想定され、都の人口約1400万人の約1・6%。首都圏1都3県で行われる試合のチケット購入者をエリア別に見ても、3分の2~4分の3が同地域を住所としていた。

 組織委は専門家会議でこうした「ファクト」(幹部)を提示。メンバーから「観客数だけでなく、観客の質や行動態様が重要だ」などの意見が出たという。

 政府は当初、提言によって世論にくすぶる五輪中止論に拍車がかかることを警戒した。一方、尾身氏らは中止論こそ唱えないものの、大会が他のスポーツと比べ規模や社会的注目度が「別格」として、リスク評価を行うことにこだわった。最終的に提言が専門家「有志」になった背景には、こうした事情がある。

 政府は21日から7月11日まで、緊急事態宣言に準じる蔓延(まんえん)防止等重点措置を東京都などに適用し、同月23日の五輪開幕日には措置を解除した状態で臨むシナリオを描く。その場合、観客は解除後の経過措置として最大1万人となりそうだ。

 ただ、事態は予断を許さない。厚生労働省に助言する専門家組織は6月16日、東京では昼夜ともに滞留人口が増加傾向にあると分析している。17日の基本的対処方針分科会では東京に関する議論が集中し、東京に出されている宣言の解除と延長で意見が割れた。

 それでも解除を了承したのは「長い間宣言を出し、一般の人が限界まできている」(尾身氏)と判断したためだ。政府は再拡大を織り込み済みで、五輪開会中でも必要なら宣言を再発令する構えを崩さない。ある閣僚は「宣言下なら無観客だろう」とみる。

 政府方針では、宣言や重点措置下で行う大規模イベントの観客制限は最大5千人。だが、宣言が発令された今年の大型連休中は、人流が増える時期だったため無観客としていた。

 大会の時期も人流が増える夏休みやお盆と重なる。宣言再発令となれば、再び無観客に基準を戻し、大会に適用する可能性がある。

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