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外為法、問われる実効性 海外投資と経済安保の両立難題

 昨年5月の改正で外国投資家による日本企業への出資規制が強化された外為法の実効性が問われる事態が相次いでいる。外為法は外国投資家の影響力が安全保障を損なう事態を防ぐため、重要企業に対する出資比率が1%以上となる場合に事前届け出を求めることなどを規定。ただし既に半導体などの重要事業を担う東芝や、膨大な個人情報を持つ楽天といった企業で外国投資家をめぐる波乱が起きており、政府の対応が求められる局面だ。日本は経済に活力を与える海外からの投資と経済安全保障との両立という難題に直面している。

 東芝などで波乱

 「重要事業を行う企業には経済安全保障という面からも見なければならない」

 梶山弘志経済産業相は15日の記者会見で、海外投資家の影響力に揺れる東芝の経営について言及した。東芝への海外投資家の影響力が増したのは2017年11月に決議した第三者割当増資がきっかけだ。シンガポールに拠点を置く投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」がこの際、筆頭株主として東芝株の11%超を保有することになった。

 東芝が今月10日に発表した外部弁護士の調査報告書によると、エフィッシモは当時、外為法に基づき事前届け出を提出。安全保障に影響を与える経営陣の人事に議決権行使以外の方法で関与しないことなどを誓約していた。その他のファンドも合わせれば、海外投資家の東芝株の保有比率は一時7割を超えていたという。

 調査報告書は経産省が東芝と一体となって海外投資家に不当な圧力をかけたと指摘した。ただ、エフィッシモが他の株主との連携を図るなど、議決権行使を超える疑いのある行為をとっていたともされている。専門家からは「経産省による外国投資家への関与は当然」との声もある。

 また今年3月には中国IT大手の騰訊控股(テンセント)子会社が楽天に出資したことが明らかになった。テンセントの子会社は楽天の大株主となったが、資産運用を目的とした「純投資」として事前届け出の免除を受けていた。

 中国は事業者から強権的に情報を吸い上げる「国家情報法」を持つことから、日米両政府は日米の顧客情報がテンセントを通じて中国当局に渡る事態を警戒し、共同で監視する。

 この問題について三木谷浩史会長兼社長は4月、「(テンセントは)一種のベンチャーキャピタルだ。何をそんなに大騒ぎしているのか全く分からない」と述べた。とはいえ純投資に該当するかは自己申告であるため、政府が外資の脅威を事前に察知することは難しいことも事実だ。

 二の足踏む外資も

 ただし、海外からの投資の呼び込みは日本企業の活力となり、株主の監視が企業統治の改善につながることも確かだ。外為法でどこまで外資の行動を制約することができるかには不透明な部分も残る。市場関係者は「当局の顔色をうかがいながらの投資には二の足を踏む外資も出るだろう」と指摘する。

 菅義偉(すが・よしひで)首相は5月、30年に外国企業による日本国内への投資額(対日直接投資残高)を20年の実績の2倍となる80兆円に引き上げるとした。いかにして外資の安全保障への影響力を排除しつつ対日投資を広く受け入れるか。政府には難題が突き付けられている。(林修太郎)

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