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原発発電コスト増で求められる電源構成バランス 安定供給踏まえた議論を

 経済産業省は12日に公表した2030(令和12)年時点の発電コストの最新の試算で、原発のコストが事業用の太陽光発電よりも高くなるとの見通しを示した。ただ、今回の試算では検討すべきすべてのコストが含まれているわけではなく、太陽光など再生可能エネルギーの発電量の不安定さといった課題は残る。バランスの取れた電源構成の必要性は変わらず、気候変動対策を急ぎつつ、電力の安定供給の重要性を踏まえた議論が引き続き求められる。

 他の電源に比べて圧倒的に安いと位置付けられてきた原発のコストが事業用太陽光のコストを上回ったのは、東京電力福島第1原発事故後の安全対策費用の大幅増などが重くのしかかったためだ。原発に関し、厳しい規制を守りながら運用していくことの難しさが浮き彫りになった。

 ただ、今回の試算のみで再生エネのコスト面での優位性が示されたと安易に判断すべきではないともいえる。実際、今回の試算では、発電量が天候で左右される太陽光発電のバックアップのために必要となる火力発電の確保などの費用は含まれておらず、詳細な検討を加える必要がある。

 電力の安定供給は日常生活や企業活動にとって重要な要素だ。今年初めに全国的な電力需給が逼迫した際には、悪天候時の再生エネ電源の不安定さというリスクが顕在化した。福島第1原発事故後に再稼働した原発の数は10基に留まっており、電力の安定供給の側面から見た原発の必要性も再認識されている。

 一方、次期エネルギー基本計画の改定作業が佳境を迎える中、原発政策を大きく前進させるために欠かせない「リプレース(建て替え)」や新増設は、計画に盛り込むことが見送られる見通しとなっている。日本が50年の脱炭素化を視野に30年の電源構成に占める原発の割合がどのように示されるかも注目される中、安定的で、かつ二酸化炭素(CO2)を排出しない電源としての原発活用に関して、コストだけでなく、総合的な視点による検討が求められる。(那須慎一)

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