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先駆者に聞く山梨産マンゴー、大雪乗り越えブランド化を狙う

 南国産のイメージが強いマンゴーが山梨県内でも作られ始めたのはここ数年のこと。先駆者である甲府市の佐野守男さん(82)が取り組んだ背景には、大雪でビニールハウスが崩壊したという大ピンチがあった。今は「果樹王国やまなし」にふさわしいブランド化を真剣に考える。

 農家の長男に生まれ、家業を継ぐもんだと考えていました。学校を出て、農業を始め、最初は米や麦、養蚕用の桑など。昭和30年ごろから、果樹を増やしていきました。

 人気の品種を求めて、奈良県の農業試験場まで行って学んだり、学校時代の仲間と勉強会を開いて、イチゴや柿などいろんな果樹を試行錯誤。そういった中、ハウス栽培のナシが中心になっていきました。

 20年以上かけて6個のビニールハウスに広げましたが、平成26年の大雪で、ハウスやナシの木が完全につぶれてしまった。ナシ再開も考えたが、実がつくまでは5~6年かかり、それまでは収入がなくなります。それならばと、2つのハウスを再建し、当時人気のあった花のスターチスを始め、東京などにも出荷し始めました。しかし人気が廃れ販売量が減少する中で、前々から考えていたマンゴーに挑戦しようと、1つのハウスで栽培を始めました。

 甲府盆地は寒暖差が大きく、さらに沖縄や宮崎よりも光量が多いことから、品質で上回ることができると思っていました。ただ、課題は冬の寒さです。

 ハウスがつぶれたときでも無事だった暖房機を使えば、冬でもハウスの気温をマンゴー栽培の最低気温の20度C以上にはできる。ただ、地面は外の冷え込みが伝わってくるのが問題でした。

 そこで鉢植えにして、地面の冷たさが直接伝わらないようにしました。これで冬の寒さが厳しい甲府でも、マンゴーの栽培が可能になりました。

 マンゴーは、気温がある程度低い状態でないと開花しません。7月からが出荷本番となる沖縄産などよりも、甲府の方が寒いため、開花が早く、1カ月早く収穫できるメリットもありました。28年から出荷できるようになり、翌年からは2つのハウスで約50株を育てています。

 まだ山梨のマンゴーは珍しいですが、直売所での売れ行きは好調です。若い人がマンゴー農家をやってみたいと見学に来ているので、こういった人たちと協力してある程度の生産量を確保して「やまなしのマンゴー」をブランド化していきたいと思っています。(平尾孝)

 【プロフィル】佐野守男(さの・もりお) 昭和14年2月、山梨県朝井村(現・甲府市)生まれ。山梨育ち。県立農業高校卒業後、経営伝習農場教室(現・山梨県農業大学校)修了。その後、実家の農業を継ぐ。趣味は釣り。

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