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「環境と共生」住宅を九大院生が設計、持続可能な建築のあり方を提案

 九州大学大学院で建築を学ぶ院生と、JR九州子会社で住宅建設を手掛けるJR九州住宅(福岡市)が共同で、環境負荷低減に配慮した住まいづくりに取り組んでいる。脱炭素が世界的な潮流になる中、建設業界でも住宅のエネルギー消費が少なく、二酸化炭素排出を減らす視点が求められている。若い世代のアイデアを生かし、持続可能な建築のあり方を提案する。(一居真由子)

 取り組んでいるのは、九州大大学院人間環境学研究院の院生約20人。九大の持つデジタル技術を活用し、季節ごとに違う太陽の日射角度や、室内に入る風の向きを考え、エネルギー効率のよい住宅の建設を目指している。実際に院生が設計した住宅が来年2月、福岡県糸島市に完成する予定だ。

 設計された住宅は、風が家の中心をぬけ、各部屋にいきわたるよう窓の配置や大きさを調整した。部屋に入る光の量も細かくシミュレーションし、照度を最大限確保。太陽光発電を装備し、断熱性能を高めてエネルギー消費を実質ゼロにする「ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」の基準を満たすよう工夫している。

 エネルギーの視点を重視しながらも、大きな窓から庭が見渡せる居心地がよい空間にするよう心を砕く。設計メンバーの一人、石本大歩氏(24)は「窓の開口を小さくすると、熱は通さないが、過ごしやすさは損なわれる。エネルギー効率のよさと、心地よさのバランスを意識した」と語り、樋口紗矢氏(24)は「人の生活や環境への配慮をリアルに考える機会になった」と話した。

 2050年に二酸化炭素排出量を実質ゼロにするとしている政府目標を受け、住宅メーカーはZEHの展開や再生可能エネルギーの活用などに注力している。業界の変化を踏まえ、九大は今年4月、環境の視点から都市建築のあり方を研究する建築研究教育センター(BeCAT)を設置した。エネルギーや災害、生態系など、多岐にわたるテーマで課題を解決するプランを考え、研究成果を自治体や企業に提案することを目標に掲げる。

 センター長は、同大卒業生で米ニューヨークで活動する建築家、重松象平氏が務めている。重松氏は「環境破壊が進むと、建築分野が環境に負荷を与える産業として敬遠される可能性がある。環境と建設を積極的に融合させる必要がある」と指摘している。

 九大の石橋達朗総長は「福岡市には東区の九州大学箱崎キャンパス跡地を含め(再開発に向けた)重要な地域があり、研究の成果が活用できる」と話している。

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