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もたらすものは成長?停滞? コスト増も株価は上昇、ESGの最新トレンド (2/2ページ)

 ヒントは三方よし

 ヒントは江戸時代の商人道にある-。過去のESG事例を学ぶ動きもある。

 「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」。三方よしは江戸期、現在の滋賀県から全国各地に出向き、名を挙げた近江商人の理念だ。滋賀大の宇佐美英機名誉教授は「世間によし、まで目配りしたことが近江商人の特徴」という。

 地域住民の生活が安定しなければ商売は長続きしない。人々が生活を維持できるよう、寄付のほか、蔵、屋敷の工事で雇用の場を設けるなど地域への還元を続けた。利益至上主義や不実な商売を戒め「細く長く」が重要な価値観だった。

 「マーケットのパイには限界があり、特定の人間だけでかじることは許されない。資源に限界があるのなら収奪しない」。まさにSDGsだったという。

 近江商人の伊藤忠兵衛が創業した総合商社、伊藤忠商事は昨春から「三方よし」を企業理念とした。宇佐美氏は幹部社員らの研修も受け持つ。

 江戸期には同様の思想が息づいていた。江戸中期の思想家、石田梅岩が説いた「石門心学」もそのひとつ。1785年、大阪に創設された私塾がルーツの「心学明誠舎」には現在も経営者が集う。宇澤俊記理事は「企業倫理、社会への貢献などに経営者の眼が向くようになった」と話す。

 社会全体でコスト負担

 近年、企業の行動に向けられる社会の目は厳しくなってきた。莫大(ばくだい)な利益をあげながら租税回避をしているとみられた多国籍企業には、各国が対策を取り始めた。国内でも資本金の減資による税負担軽減が話題になった。

 関学大の阪氏が36カ国の全上場企業を調べたところ、実効税率(利益額に対して負担する税金の割合)が高い企業ほど企業価値が高く、長寿企業でもある可能性の高いことが分かった。「社会にとってプラスの行動は、短期的に財務業績を不利にすることがあっても企業の持続可能性を高める」という。

 一方で「見えない価値」をどう評価するかは課題だ。実際、短期的にはESG関連投資はコスト増要因で、収支は厳しくなる例が多いという。不二製油の門田氏は「環境対応などを進めたら固定費も上がる。コストは数十%上昇している」と明かす。価格への転嫁は容易ではなく「瀬戸際にある」。

 持続可能な社会へどうコスト負担していくか。消費者も含め社会全体で考えていく必要もありそうだ。(内山智彦)

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