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九州最大級の「eスポーツ」施設が開業 プロチーム本拠地

 対戦型のコンピューターゲームの腕を競う「eスポーツ」の九州最大級の拠点「チャレンジャーズパーク(チャレパ)」が22日、天神ロフトビル(福岡市中央区)に開業した。eスポーツは、海外では賞金総額数十億円規模の大会が催されるなど盛り上がりが先行するが、国内でもプロチームの発足や学校の部活動に取り入れられるなど熱が入りつつある。運営する九州電力系通信会社「QTnet」は拠点整備で、市場拡大につなげる考えだ。

 「待ちに待った施設で、愛好家が欲しかった環境がかなえられた。(プレーヤーや観客が)九州中から集い、盛り上がってもらいたい」

 オープニングセレモニーで、eスポーツの普及・啓発活動に取り組む福岡eスポーツ協会の中島賢一会長はこう強調した。

 天神ロフトビル8階のワンフロアの延べ床面積約610平方メートルに整備したチャレパの目玉は、試合やイベント開催用のスタジアムだ。同社傘下のプロeスポーツチーム「センゴクゲーミング」の本拠地となる。約200インチの大画面モニターを背後に最大10人の選手が横に並び、正面の円形客席から観戦できる。

 他にも、プロ選手による講習会などを実施できる教室や動画配信ブース、約20のソフトを楽しめる高性能のゲーミングパソコンを時間貸しするコーナーなどを整備した。担当者は「観戦はもちろん、自身でのプレーやスキルアップまで幅広いニーズに対応させた」とする。

 コロナ禍のもとでの「巣ごもり」を追い風に成長著しいeスポーツへの期待は大きい。テニスの錦織圭選手らが任天堂の「マリオテニスエース」の大会に出場するなど、リアルスポーツとの融合も進む。カドカワグループ子会社の調査ではeスポーツの市場規模は2020年に世界で約9億7千万ドルで、23年には15億ドルにまで伸びると予想する。

 アジアオリンピック評議会は昨年末、2022年に中国・杭州で開催するアジア競技大会で、eスポーツを正式競技とすることを承認した。観戦者は世界で4億人以上に上り、オンライン視聴や広告などによる収入をはじめ、すそ野は広く、大きな経済効果が見込まれている。

 国内でもeスポーツへの投資が進み、経済産業省も後押ししている。九州ではセンゴクゲーミングをはじめ、再春館製薬所やプロ野球・福岡ソフトバンクホークスによるプロチームが設立された。チャレパのオープンにあわせ、プロチームを集めたリーグも創設する計画が進む。

 QTnetはこのような環境に商機を見いだす。同社の岩崎和人社長は「eスポーツが普及すれば、家庭用の通信インフラ需要も高まる。まずは楽しんでもらい、市場を広げたい」と語った。この日のセレモニーには親会社の九電、池辺和弘社長も出席し「eスポーツ業界は右肩上がりで、期待できる。地域を元気にする力もある」と強調した。

 民間の動きに対し行政も呼応する。福岡市は平成18年、九州大や関連企業と福岡ゲーム産業振興機構を立ち上げ、「世界的ゲーム都市」を目指す。同市では31年、eスポーツの世界大会「EVO Japan」を地方都市として初めて誘致し、多くの観客を集めた。

 eスポーツは大会会場での観戦だけでなく、ネット配信などオンラインでも十分に楽しめる。コロナ禍の長期化では「3密回避」と経済活動活性化の両立に多くの業界が頭を悩ませるが、eスポーツはハードルが低い。チャレパを拠点に、九州のeスポーツ文化が盛り上がれば、新たな都市の魅力向上や活性化につながり得る。

 高島宗一郎市長はこの日のセレモニーに「福岡市には10~20代の若者が多く、eスポーツと親和性は高い。(チャレパを舞台に)世界で活躍することを期待したい」などとメッセージを寄せた。(中村雅和)

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