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「誇れる街づくりを」 福岡・八女商議所の挑戦 (2/2ページ)

 総事業費3億円のうち、国の補助金1億8千万円の活用と、地元銀行などからの借り入れを決め、資金調達にめどをつけた。ホテルの設計や運営は、歴史的建造物の再生に実績を持つバリューマネジメント(大阪市)に依頼した。

 勢いでスタートしたが、いくつもの壁にぶつかった。改修する古民家の室内は荷物が山積みで、野良猫が出入りするほどの状態。所有者との交渉も難航した。同商議所の萩尾猛専務理事(65)は「問題があれば解決のために即動き、走りながら一つずつクリアしていった。地元が本気になることで、運営会社も付いてきてくれた」と振り返る。

 変化の兆し

 当初のターゲットは都市圏や海外の富裕層だったが、コロナ禍で状況は一変した。令和2年に開業した直後にはコロナ感染拡大が直撃し、稼働率が20%程度と低調を続けた。関係者に不安もよぎったが、小規模・分散型のホテルの形態が近場で周囲を気にせず安心して旅行したいと望む人たちの心をつかんだ。古民家という非日常の空間で、八女特有の食や文化を体験できることもあり、安心できるプレミアムな旅の魅力が知られるにつれ、福岡県内を中心に家族連れや若い女性が訪れるようになった。夏休み時期になると、稼働率は60%に上昇。単月で90%を超える時期もあり、現在も堅調に推移する。

 宿泊客の期待に応えられるよう、商議所は知恵を絞る。八女茶を堪能できるイベントの開催や街巡りに使える電気自動車の導入のほか、茶畑と市街地が見渡せる場所にウッドデッキを整備した。

 古民家再生事業は、地元住民にとって当たり前だった光景を、価値として再認識する機会にもなった。市民が親族と宿泊する例もあり、別の事業者も近く古民家ホテルをスタートする。

 山口氏はこう語る。

 「動いている取り組みがあれば、街が中長期的に変わっていく。古民家ホテルは起爆剤。事業を通じて地元の人が誇れる街づくりをする。伝統産業が見直され、若い人が移住して起業したり、アーティストが拠点を作ったりすれば街がざわざわする」(一居真由子)

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