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博多駅立ち食い店は「若手の登竜門」 試行錯誤で経営力磨く

 JR博多駅(福岡市)ホームの立ち食い店に、高級ラーメンに続き、本格そばが味わえる店が登場し、話題を集めている。運営するのは、いずれも30代の料理人。どうすれば多くの人に立ち寄ってもらえるか、悩み、試行錯誤を重ねながら料理の腕や経営力を磨いている。3~6月に営業したラーメン店は15日に同駅近くで常設店を開業するなど成果も出ている。駅ホームは、コロナ禍の逆風下でも若手料理人が飛躍を目指す登竜門となりつつある。

 5、6番ホームで現在営業するのは、「手打ち蕎麦 さえ木」。福岡市の中洲にある飲食店「牛タンと蕎麦 さえ木」が出店し、手打ちの更科十割そばや二八そばが味わえる。

 駅の立ち食い店への出店は、JR九州フードサービス(同市)が地元料理人を応援しようと企画。営業は3カ月の期間限定で、さえ木の営業は7~9月。駅という立地や話題性から多くの人が訪れるが、店長の三角朋也氏(39)は「反応はいいが、リピートにつなげられていない」と表情を引き締める。

 熊本産のそば粉や鹿児島産のかつお節など九州の素材を使い、風味豊かなそばを提供する。価格はほとんどが千円超え。立ち食い店ではまずお目にかかれないクオリティーで、開業直後は1日100食以上が売れたが、数字を維持し続けるのは難しく、少しずつ客数は減ったという。

 「味の追求が大事だと思っていたが、それだけでは繁盛店は作れない。発信の仕方や、お客さんの琴線に触れる話題づくりも必要。多くの課題が見つかり、どうすれば人が来てくれるのかを、すごく考えている」と三角氏は語る。

 新メニューの考案やポスターの作り替えなど、思いついた改善案はすぐに実行する。もともと中洲の店では、そばの麺は機械で作っていたが、三角氏はコロナによる休業期間を活用し、老舗そば屋に手打ちを学んだ。飲食店に厳しい風が吹く中、そば文化を広げたいと、料理人としての技術向上を目指し経営力も磨く。「立ち食い店は期間限定なので、短期集中でいろんなことを試せる。食を通じていろんな地域と関わり、各地に拠点を作るのが目標」と意気込む。

 営業は午前8時~午後8時で、材料がなくなり次第終了となる。

 常設店15日開業

 一方、3~6月に営業していたラーメン店「淡麗らぁ麺 明鏡志水(めいきょうしすい)」は、博多駅直結の商業施設「博多デイトス」での常設オープンが決まり、15日に営業を始める。

 立ち食い店には3カ月で延べ約1万5千人が来店した。最終日には惜しむ人たちがホームの端まで列をつくり、2時間待ちとなったという。

 店長の秋吉雄一朗氏(37)は、フランスで公邸料理人を務めた経験を持つが、ラーメンの提供や店舗の本格経営は初めてだった。3カ月の期間中、客の反応を見ながら味の改良を続けたといい、「自分の表現したい味とお客さんの満足度を両立するのが課題だったが、多くの人が立ち寄る駅ホームという場所を生かして料理がレベルアップでき、手応えを感じられるようになった」と語る。

 SNSを使った情報発信で集客にも工夫した。福岡では珍しい出汁のきいた澄んだ味わいのラーメンを提供する挑戦心や、JR九州とのタイアップがメディアに取り上げられ、認知度も上がった。

 常設店では、人気を集めたラーメンに加え、緊急事態宣言の解除後は、ワインに合うアラカルト料理を用意する。

 同時に秋吉氏は、フランスでの来春出店に向け準備を進めており、「パリでの出店が直近の大きな目標。評価されるレストランをつくり、日本のよさを世界に発信したい。影響力を持つ料理人となり、日本に貢献したい」と大志を抱いている。(一居真由子)

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