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廃駅舎が「学び、楽しめる」国民的鉄道ミュージアムに オランダ鉄道博物館 (2/3ページ)

 海外で生活したことのある日本人や、日本を訪れたことのある外国人なら誰でも、わが国の公共交通が世界一充実していて、清潔で、時刻表通りで、サービスも素晴らしいことは体感として知っているのではないだろうか。

 欧州の中では日本やドイツに次いで鉄道システムが充実しているといわれるオランダに暮らす筆者さえ、その差を巡って様々な経験をしている。

 大手清掃会社を営む友人は、日本で撮影した鉄道車両の写真を何枚か持ち込んでオランダ国鉄に車両清掃の営業をかけた。「わが社に清掃を任せてくれれば、君たちの車両も日本の電車のようにピカピカにできる」。国鉄の返答は、「稼働しているのにそんなきれいな鉄道車両があるものか、その写真に写っている車両はたまたま全部新しかったに決まっている」とけんもほろろだったという。

 オランダ国鉄が日本の鉄道がどのように定刻通りの運行を守っているのか学ぼうとJRのシステムを調査した結果、その結論が「ムリ(自分たちには)」だったという逸話も有名だ(話が極端に要約されてはいるだろうが)。

 筆者の夫が欧州の中でもおおらかな国に出張した際など、地下鉄の時刻表がないと駅員に文句を言ったら「時刻表は一応あるが、実際電車が何時何分に到着するかなんて、走行してみないと分からないだろう。なぜそんなに見たい」と呆れられてしまったという。

 背景はこのような鉄道事情や国民性など様々あるだろうが、とにかくオランダをはじめ多くの国では「鉄道愛好家」の数が日本よりも圧倒的に少ない。大多数の男子が成長過程で鉄道マニア期を通過するという現象もほぼ日本独特のものだ。こういったオランダ国民の鉄道に対する執着の薄さが、「車両展示は二の次のレジャー向け鉄道博物館」というコンセプトを歓迎しているのかもしれない。

 「誰もが楽しめるファミリー向け博物館」行ってみると

 さてその「ファミリー向け鉄道博物館」だが、コロナ禍による度重なる一時閉館の合間を縫って訪問したので内容を少しご紹介したい。

 ユトレヒト中央駅から専用のシャトルトレイン(駅が現役だった頃の線路をそのまま運行する)に乗り、Maliebaan駅に到着すると、1874年建造の駅舎が現れる。ホームに展示してある車両を覗きつつ、駅開業当時の内装を復元したエントランスでチケットを買い、その足で駅舎内の王室待合室を見る。

 博物館内は大きく分けて、鉄道の歴史や仕組みを学べる車両展示エリア(半屋外のガレージエリアへと続く)、オリエント急行の旅が体験できるシアター、レストラン・ショップエリア、鉄道の仕組みを学べる「テックラボ」、1839年にタイムスリップして蒸気機関車で炭鉱を訪ねるコンセプトのアトラクション「グレートディスカバリー」、小物展示室の6エリア。

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