5時から作家塾

廃駅舎が「学び、楽しめる」国民的鉄道ミュージアムに オランダ鉄道博物館 (3/3ページ)

 屋外には子ども向けの公園エリアとミニトレイン「ジャンボ・エクスプレス」、200年の鉄道の歴史旅行を体験できるアトラクション「De Vuurproof」、1910年建造の木造指令センターなど子どもが遊べる施設が中心に並ぶ。さらに戦時中ドイツ軍によって押収ののち強制収容に利用されて行方不明となり、近年ブカレスト近郊で朽ち果てた状態で発見された貨物車NSD4088も展示されている。

 この日展示されていた車両は、屋内外合わせて30程度。基本的に内部見学自由だ。1910年製造の木造車両SSC723の趣とシートの硬さを味わい、オリエント急行WR2287の食堂車で往年のディナーに思いをはせ、ベビーブーマー世代の義母が「犬の頭」の愛称で親しまれたMat '54の車両に「懐かしいわ、若い頃はこれで通勤していたのよ」と目を細める。日本でいえば、あえて5000系の千代田線が展示されているような感覚だろうか。こういった生活に密着していた車両が多く展示されている点も、「みんなの鉄博」のねらいかもしれない。

 遊び疲れたらレストランへ。先述のオリエント急行の食堂車で実際に食事ができるイベントが随時開催されているのでできればそれを狙いたかったが、この日は残念ながら対象外だったので、オランダの典型的「駅弁」(?)を選ぶことに。カフェカウンターの他に、Maliebaan駅現役当時に設置されていたレトロなコロッケ自動販売機がある。自販機で買うコロッケは国民的スナックで、乗車前に手軽に買ってホームや車内でかじっているオランダ人をよく見る。なんというか外側がガリガリした食感の牛ひき肉入りクリームコロッケだ。日本の駅弁が恋しい。

 ちなみに館内は基本的にどこでもパーティ会場としての貸し切りが可能。人気の用途はやはり子どもの誕生日パーティとのことだが、オリエント急行のダイナーや王室待合室でウェディングを開きたいなどの方はご検討を。

 その後も車両を楽しみ、アトラクションに乗り、子どもをプレイエリアで遊ばせているとあっという間に一日が過ぎる。

 帰る前に、オランダにしては充実したスーベニアショップでお土産を買うのを忘れずに。人気商品は現役国鉄車両のVIRMを模したぬいぐるみ34.99ユーロ(約4400円)。他にオランダでは1982年に利用が廃止されたエドモンソン式乗車券(日付が印字されてないのでおそらく未使用の余剰分)が10枚1ユーロで売られていたのでそれも買う。磁気の通っていない鉄道乗車券なんて何十年ぶりに触っただろう。

 オランダ国鉄が誇る、変化に富んだ「電車と歴史と文化と学びと遊び」の博物館。電車がお好きな方もそうでない方も、おひとり様でもご家族様でも楽しい一日を過ごせる鉄道博物館だ。

 世界が落ち着きを取り戻し、オランダ観光にお出かけの際には、ぜひ訪問先リストに加えてほしい。(ステレンフェルト幸子/5時から作家塾(R)

5時から作家塾(R)
5時から作家塾(R) 編集ディレクター&ライター集団
1999年1月、著者デビュー志願者を支援することを目的に、書籍プロデューサー、ライター、ISEZE_BOOKへの書評寄稿者などから成るグループとして発足。その後、現在の代表である吉田克己の独立・起業に伴い、2002年4月にNPO法人化。現在は、Webサイトのコーナー企画、コンテンツ提供、原稿執筆など、編集ディレクター&ライター集団として活動中。

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