ライフ

おひとり様には「お隣さん」 近隣住民と意識的に関係作りを

 「遠くの親戚より近くの他人」という言葉通り、近隣住人と意識的につながっておくことはおひとり様にとって重要だ。

 東京都渋谷区では地域コミュニティーの活性化を目的に「渋谷おとなりサンデー」という取組を開始。2017年~19年の3年間で延べ238件の交流の場が開かれた(20年はコロナの影響によりオンライン開催)。

 渋谷区地域振興課の山口啓明さんは「発祥はパリのアパートで高齢者の孤独死が発生したことをきっかけに近隣住民が声をかけあって開催されたパーティー。渋谷区では、毎年6月の第1日曜日を、ふだん話す機会の少ない近隣の人と顔見知りになる日『渋谷おとなりサンデーの日』に定めるとともに、6月を『地域交流・地域活動の強化月間』にしている」と説明する。

 公園でのピクニックやマルシェなどのほか、街の清掃など活動はさまざま。高齢者を含めた幅広い年齢層の人が参加している。渋谷区には「普段話さない人とお話できてよかった」「お隣さんを知る良い機会になった」などの声が寄せられているという。

 渋谷区のような取り組みはなくとも、全国各地の市区町村には、地域住民の立場から生活や福祉全般に関する相談・援助活動を担う民生委員が必ずいる。同じ地域に住む身近な相談相手として日頃からコンタクトを取っておくことも、いざというときのために有効だ。

 他にも自治体がサポートに乗り出す事例がある。先駆的な取り組みをしているのが、神奈川県横須賀市だ。横須賀市は15年から「エンディングプラン・サポート事業」、18年から「わたしの終活登録事業」を開始した。「エンディングプラン・サポート事業」は、頼れる身寄りがなく、生活にもあまり余裕のないおひとり様が対象だ。

 希望者から「葬儀・納骨」「死亡届を提出する人の確保」「延命治療を望むか否かの意思(リビングウィル)」についての相談を受けたうえで、葬儀社と葬儀に関する生前契約を結んだり、リビングウィル表示をしたりすることへのサポートをしたりするのが事業の骨格だ。これまでの相談件数は521件、登録件数は62件、既に15件が実施されている。

 「わたしの終活登録事業」は全市民が対象。終活ノート・遺言書の保管場所や墓の場所、緊急連絡先など終活関連情報を生前登録し、万一のときに病院・警察や本人が指定した者に開示して、本人の意思実現を支援する。登録は、本人が同市福祉部地域福祉課に電話するだけで完了する。登録者数は334件(20年9月現在)。

 いずれも、葬儀や治療に関する生前の意思を役所が共有することで、最終的に無縁遺骨となるような事態を回避し、故人の尊厳を守るのが目的だという。(『終活読本ソナエ』2020年秋号から順次掲載)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus