ヘルスケア

東京都、変異株置き換わり 入院・重症者増で病床逼迫…インド型の新たな脅威も

 感染力の強い新型コロナウイルス変異株への置き換わりが東京都でも急速に進み、医療現場に悪影響を及ぼしている。変異株は若年層でも感染・重症化しやすいとの指摘があり、入院患者や重症者数を徐々に押し上げ、病床を逼迫(ひっぱく)させている。新たにインド由来の変異株の脅威もささやかれる中、さらなる病床確保などの対応が急がれている。

 昭和大病院(品川区)の相良博典院長は4月下旬以降、英国などに由来するN501Y変異株の入院患者の比率が明らかに高まっていることを実感している。「今は検査した全員が変異株で、うち約85%がN501Y。足元の感染状況以上に病床が逼迫してきている肌感覚がある」と話す。

 都の今月6日時点のデータによると、都や民間検査機関などで行ったN501Y変異株のスクリーニング検査の陽性率は3月22日の週に3・1%だったが、毎週十数ポイントずつ増え、4月19日の週には57%に上った。現在はさらに置き換わりが進んでいる可能性が高い。

 従来株や変異株の感染割合を詳しく調べる検査でも、3月下旬までは従来株や、ワクチンの効果を弱めることが懸念されるE484K変異株などが計90%超を占めたが、4月19日の週以降はN501Yの割合が逆転。19日の週に59・6%、26日の週は67・9%となった。

 その影響は医療体制にも表れ、都全体の今月11日時点の入院患者数は2393人で、1カ月前の4月11日時点(1511人)から1・6倍に。都の基準で集計した重症者数は81人に上り、1カ月前(39人)から倍増した。

 昭和大病院でも最大4人の入院患者を受け入れた日があり、今月10日時点で最大38床(重症8床、中等症以下30床)のうち20床を使っている。特に40~50代の年齢層が目立つ。9日に転院してきた40代前半の女性は酸素投与を行う中等症として搬送されたが、すぐに人工呼吸器に切り替えるほどの重症だったという。

 相良院長は「従来株に比べ、重症化までの期間が数日早まっている」と指摘。「若年者だから安心ではなく、中等症から回復していた患者が重症化するようになれば、一気に病床が埋まる。さらに上の年齢層に感染が広がれば、医療崩壊に直面した第3波と同じ状況に陥る」と危惧する。

 同病院は最悪の事態に備え、来週にもコロナ患者用に10床の増床を計画する。「コロナ患者に今以上に病床を振り分けるようになると、一般医療や手術を制限せざるを得ない可能性もある。そうならないことを祈っている」。相良院長はこう強調した。

 都内では、インドで広がるL452R変異株も5件検出。都は確保病床を5594床から6044床に増やすための要請を行い、警戒を強める。

 緊急事態宣言延長が決まった7日の記者会見で、小池百合子知事は「未知の新しい変異株の脅威にも注意を払っていかなければならない。感染爆発の火種はそこかしこにあると言っても言い過ぎではない」と危機感をあらわにした。

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