ヘルスケア

ワクチン「1日100万回」の目標 道筋どう描く、現場は苦心

 国内で新型コロナウイルスのワクチン接種が始まってから17日で3カ月。菅義偉首相は接種のスピードを上げるため「1日100万回」の目標を掲げ、高齢者接種を7月末までに完了することを目指している。2回目の接種を終えた65歳以上の高齢者(約3600万人)は4万5819人、医療従事者(約480万人)でも152万284人にとどまる(いずれも13日時点)。膨大な回数の接種の道筋をどう描くか。現場は苦心している。(鬼丸明士、三宅陽子)

 「6月末には高齢者が2回打てる分のワクチンが各自治体に行く。ワクチンがくれば、早く打ってもらいたいという思いが出てくると思う」。14日の閣議後会見で田村憲久厚生労働相はこう語り、接種のペースアップに期待を込めた。

 政府は10日と17日の週に計約1872万回分(1瓶6回接種換算)の高齢者ワクチンを各自治体に発送。その後も順次送り出し、6月28日の週には高齢者全員が2回打てる分量のワクチンが各地に届く見込みだ。「1日100万回」の供給体制は整いつつある。

 政府の調査では86%にあたる1490の自治体が、7月末までに接種を終えられると回答。だが、接種人口での割合は公表しておらず、どれほどの高齢者が実際に7月末までに接種が完了するかは別問題だ。

 16日から緊急事態宣言の対象となった北海道。感染拡大の中心となっている札幌市は当初、8月末をめどに接種を完了する予定を立てていた。市内の高齢者は約54万人で、基本は医療機関での個別接種。最大で1日当たり1万2千回接種する計画だ。

 しかし、7月末までに終わらせるなら、このペースでは間に合わない。政府が掲げる「1日100万回」を実現させる場合、単純計算で連日約1万5千回接種する必要がある。

 「(接種回数の)不足を補うのは簡単でない」と担当者。最大のネックは医療従事者の確保だ。医療機関には最大限の協力を得ており、これ以上の個別接種の上積みは難しいという。「規模が大きい自治体には、東京や大阪のように国が大規模接種会場を設置するなどの支援が必要」。担当者はこう訴える。

 自治体独自で大規模接種を行う動きも出始めている。大阪市は国が設置する会場に加え、1日当たり3500人接種できる会場を設置予定。長崎県も承認申請中の米モデルナ製ワクチンの使用を想定した大規模接種会場を準備することを明らかにした。

 一方、東京都医師会は、個別接種を行う医療機関が午後の診療時間を「ワクチンタイム」にすることで1日100万回規模の接種は可能だとしている。角田徹副会長は「かかりつけ医は患者をよく知っている。1人5分だと1時間で12人。午後にワクチンタイムを作り、さらに週末の集団接種を組み合わせれば楽になる」と話す。

 ただ、個別接種は通常診療を圧迫することになる上、ファイザー製のワクチンは温度管理が難しいため、接種場所が多くなれば適切な配分計画が求められる。「大事なのは地域の医療従事者との事前協議」と角田副会長。地元医師会や外部の医療事業者に早い段階から協力を要請してきたという練馬区は「政府の目標水準で接種できる見通しが立っている」という。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus