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WMGまで1年、収まらぬコロナ禍 自治体には懸念も

 関西を中心に開かれる生涯スポーツの世界大会「ワールドマスターズゲームズ(WMG)2021関西」の開幕まで13日で1年となる。新型コロナウイルスの影響で1年延期となり仕切り直しとなる大会。大会組織委員会は中断していた競技への出場申請や運営ボランティアの受け付けを同日から再開し準備を本格化させるが、収束のみえないコロナが先行きに影を落とす。(黒川信雄)

 危うい「世界大会」

 WMGは4年に1度開かれる生涯スポーツの世界大会。第10回となる今回はアジア初開催、過去最大規模となる予定だが、コロナ禍で状況が一変した。

 昨秋の延期決定後、大会を主宰する国際マスターズゲームズ協会(IMGA)との調整が難航、新しい日程が決まらない事態となった。ただ、今年1月までに組織委が求めていた来年5月の開催をIMGAが承認。各競技の会場確保も進み、開催に向けた体制がようやく整いつつある。

 組織委は出場申請の受け付け再開に合わせ、13日から公式ポスターをリニューアル。「スポーツが、好きだ。スポーツが、したい。」と新たなキャッチフレーズを付け加え、仕切り直しに意気込む。

 とはいえ現状は厳しい。

 「『ワールド』と名付けているが、そもそも海外から出場者が来日できるのか」

 開催地となる自治体の関係者は、コロナによる渡航制限を危惧する。

 おおむね30歳以上という条件を満たせば参加できるWMG。競技もさることながら、開催地周辺の観光や、飲食店での出場者同士の交流会が目的の一つだ。

 組織委はWMGの経済効果を約1500億円と見積もるが、大半は「約2万人の海外参加者とその家族らがともに来日して、国内を観光すること」を前提としているという。

 さらに悩ましいのが、開催に批判の声もある東京五輪だ。WMGは通常、五輪の翌年に開催。五輪でスポーツへの関心が高まるタイミングを捉えて参加を促す狙いがあるためだ。予定通り開かれるか、組織委は神経をとがらせる。

 PRにも誤算

 ここにきての感染拡大は、大会のPRにも誤算となっている。当初、組織委には、13日に合わせて記者会見を開き各競技の成績優秀者におくるメダルを発表したり、首都圏でのPR活動を始めたりする構想もあったが、見送りに。競技会場となる一部の自治体も、関連イベントや街頭での宣伝活動などを取りやめた。

 大会のスポンサー企業からは「組織委から今後どのようにPRを進めるかという具体的な話も来ていない。意義のあるイベントだけに、残念だ」との声もあがる。

 感染対策も課題だ。組織委の仁坂吉伸会長(和歌山県知事)は3月、記者会見で「新型コロナが完全には収束していないことも予想される」などとした。現時点では各競技団体が定めている対策に沿った運営をするとしているが、今後、詳細な対策が求められる可能性もある。

 キャンセルわずか

 「すべてはコロナ次第」という状況の大会運営。ただ、明るい材料もある。

 組織委は競技日程の変更に伴い、出場申請のキャンセルを3月に受け付けた。それまでに申請していた国内約1万3千人、海外約1800人のうち、キャンセルしたのは計300人にとどまるという。WMGは国内外に多くの愛好家がいるのも事実だ。

 「スポーツや観光を楽しむ機会が奪われる今、WMGの魅力をアピールできれば、関心を持つ人は少なくないはず」と組織委は期待する。スポーツと観光を楽しむWMGの理想を実現できるか。綱渡りの準備が続きそうだ。

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