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「ビットコイン大暴落は止まらない」コロナ終息で暴かれる暗号資産の"本当の値段" (3/3ページ)

 暗号資産は「貨幣3機能」を満たしていない

 なお、暗号資産が法定通貨に勝ると思われていた決済機能は貨幣に想定される3機能の1つに過ぎない。3機能は(1)価値尺度、(2)決済手段、(3)価値貯蔵である。

 (2)として使えない(使われていない)という議論は上述の通りだが、(1)も(3)も満たしていないというのが実情だろう。

 決済手段として使われない以上、通貨としての実需(≒利用価値)がないということである。実需が拡がっていかなければ企業部門や家計部門で日常利用されるには至らない。だから通貨に慣れないし、金利も付かないのである。

 これだけでも議論は尽きるが、(1)の機能ならばどうだろうか。

 例えば原油や金の値段がビットコインで表示される未来が想像できるかを考えれば良い。ドル建てで表示されるのはドルの価値が最も安定しているからという暗黙の前提がある。1カ月で価値が半減するような単位で財やサービスの普遍的な価値を表現するのは無理である。価値尺度にもならない。

 次に(3)の価値貯蔵機能はどうだろうか。敢えて言えば、この点は最も暗号資産の魅力が見出されやすい機能なのかもしれない。月単位で倍になる可能性があれば、そこに十分な期待値を認め、投資対象とする投資家もいるだろう。

 存続するなら“資産運用先の一つ”という程度

 暗号資産が今後も存続するとすれば、それはやはり「資産運用先の一つ」として選ばれるコースが濃厚だと筆者も思う。

 だが、暗号資産の異様に高いボラティリティは投資家からすればリターンを蝕むリスクであり、株・債券・為替といった伝統的な資産クラスはおろか、これに次ぐオルタナティブ資産の中でも商品や不動産には及ばない位置づけだろう。ボラティリティが高いという事実は価値貯蔵に最も向いていない特徴と見なすこともできる。

 なお、価値貯蔵機能に着目した場合、例えばビットコインはその産出量(発行量)に上限があり希少性が高いという点で金に類似し、だからこそ希少価値があり価格も上がるという解説をよく目にする。それは暗号資産がビットコインだけならば有効な理由かもしれない。

 しかし、有象無象の暗号資産が乱立している今、その希少性をどこまで評価すべきなのかは相当に注意が必要である。

 もちろん、ビットコインが有象無象の暗号資産とは違って、決済機能(や価値尺度機能)にも優れているなど通貨の基本的機能を強みとして備えているならば差別化もされるだろうが、上述したように結局、そうした事実は今のところ認められない。

 そもそも金の持つ価値貯蔵機能は長い人類の歴史の中で、あらゆる国・地域で認知・形成されてきたものだ。急に出てきた暗号資産が同じ位置づけになるのは難しい。

 暗号資産急騰は運用難がもたらした「時代のあだ花」

 最近まで暗号資産の騰勢が続いてきたのは伝統的な資産クラスの投資妙味が限界まで押しつぶされた結果、相対的な投資妙味が改善して見えたからという側面があるのだろう。

 コロナ禍に対応するための形振り構わないマクロ経済政策の結果、過剰流動性が生み出され、株も債券も全くアップサイドが見込めない水準まで買われてしまった。そこで行き場を失った運用資金の置き場所が必要になり、暗号資産が選ばれたという実情もあったのではないか。

 しかし、冒頭述べた通り、米国を中心にコロナ終息が視野に入る中、昨年来続いてきた金融相場が終焉に近づいている感は強い。ワクチンを無効化する変異種の登場などがない限り、遅かれ早かれ金融相場は終わるしかない。

 暗号資産急騰はコロナ禍における運用難がもたらした「時代のあだ花」として散っていくことになると筆者は思っている。

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 唐鎌 大輔(からかま・だいすけ)

 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

 2004年慶應義塾大学経済学部卒業後、JETRO入構、貿易投資白書の執筆などを務める。2006年からは日本経済研究センターへ出向し、日本経済の短期予測などを担当。その後、2007年からは欧州委員会経済金融総局(ベルギー)に出向し、年2回公表されるEU経済見通しの作成などに携わった。2008年10月より、みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『欧州リスク:日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、14年7月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、17年11月)、『リブラの正体 GAFAは通貨を支配するのか?』(共著、日本経済新聞社出版、19年11月)。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』、日経CNBC『夜エクスプレス』など。連載:ロイター、東洋経済オンライン、ダイヤモンドオンライン、Business Insider、現代ビジネス(講談社)など

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 (みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌 大輔)(PRESIDENT Online)

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