ヘルスケア

都内の新型コロナ感染、基礎疾患なく重症化の中年も

 東京都内で50代の新型コロナウイルスの重症患者が増加していることが判明した。基礎疾患がなくても重症化するケースも確認されており、患者を受け入れる医療機関は、都内で置き換わりが進むインド由来の変異株「デルタ株」の影響を指摘する。感染者が多く確認される20、30代で肺炎を発症する中等症患者も増えており、症状悪化の「若年化」は病床を逼迫(ひっぱく)させる新たな懸念材料となっている。

 東京都品川区の昭和大学病院では12日、肺炎が悪化し、重症となった50代の新型コロナ患者が都内の別の病院から転送されてきた。酸素を吸入しながらストレッチャーに乗せられたこの患者は、CT検査を受けた後に集中治療室(ICU)に運ばれ、気管挿管して人工呼吸器を装着することになった。

 「これまで、重症者といえば高齢者と基礎疾患がある人という印象だったが、状況は変わりつつある」。同病院の相良博典(さがら・ひろのり)院長は感染が再拡大した6月下旬以降、基礎疾患を持たない中年層でも重症化リスクが高まっていると感じている。

 同病院では今月13日時点で最大8床の重症病床に3人が入院。このうち1人は70代だが、2人が基礎疾患のない50代だ。感染拡大の「第5波」の特徴ともいえる重症者の若年化の背景について、相良院長はデルタ株の影響を指摘。「入院する中年層では短期間のうちに重症化することが多い。『若いから重症化しない、発症しない』というのは従来株での認識で、過去の話だ」と警鐘を鳴らす。

 中年層では一時的に人工呼吸器が必要になっても、1週間程度で外せることが多いという。また、高齢者へのワクチン接種が一定程度進み、同病院では高齢者が次々と搬送されてくる状況ではなくなった。相良院長は「ワクチンの効果で感染拡大や重症化を防げている」とみる。

 隣接する埼玉県でも新型コロナ患者の状況は同様の傾向を示している。さいたま市大宮区の自治医科大学付属さいたま医療センターでは、入院患者は40~60代の計5人(13日時点)で、ICUに入る重症者は基礎疾患を持つ50代の2人だ。

 讃井(さぬい)将満・集中治療部長は「ご家族などに確認する限り、2人はまだワクチンを接種していない。ワクチンの効果は高く、非常に高い確率で重症化を抑えられる」と指摘する。

 讃井部長は、高齢者の感染者が減少した背景には介護施設などでのクラスター(感染者集団)発生の抑え込みがあると指摘、「高齢者へのワクチン接種以外にも職員の感染防御意識の向上やPCR検査の強化が奏功している」との見方を示した。

 一方、昭和大病院では肺炎を発症して入院を余儀なくされる20、30代が増え、酸素投与が必要な中等症になるケースもある。これもデルタ株への置換が始まってからの特徴だという。

 相良院長は「外出機会が多い現役世代へのワクチン接種も着実に進める必要がある。入院が必要な若者が増えてしまうと、結果的に重症病床を逼迫させることにつながる」と警戒感を募らせている。

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