教育・子育て

全国の書店で「本屋はミカタ」キャンペーン 学校がつらい子に知識と居場所を

 学校がつらい子供たちに、書店という居場所があると伝えたい-。夏休み明け前後は子供の自殺が増える時期だ。8月下旬から、全国の書店で、子供の生き方や悩みを解決するための本を紹介する「本屋はミカタ」キャンペーンが展開されている。

 味方がいることを知って

 「自分の身体と心を守る知識と、学校と家庭以外の居場所を提供したいと強く願う、本屋さんの思いがこもったコーナーです」

 丸善丸の内本店(東京都千代田区)の児童書コーナーの一角。「本屋はミカタ」と書かれたパネルにはこんな文章がつづられていた。売り場では、『明日、学校へ行きたくない』や『ミライを生きる君たちへの特別授業』などの本が集められている。

 担当者は、「家と学校以外の世界の一つとして書店もある。本を通して、いじめや子供の生き方について考えている大人がたくさんいることを知ってほしい」と話す。

 書店が果たすべき社会貢献

 キャンペーンは、『こども六法』の著者、山崎聡一郎さんの呼び掛けで実現。全国70以上の書店が参加した。山崎さんは「本が現実を耐え忍ぶ心の支えになるときもあれば、悩みを具体的に解決する知識を伝えられる場合もある。将来的に本と過ごした時間が現実世界の美しさや小さな幸せに目を向ける種になってくれたら」と話す。

 山崎さんは小学校時代にいじめを受けた経験がある。中学生のときに六法全書を読み、「法律の知識があれば自分の身を守れたかもしれない」と考えるように。いじめ問題に取り組む中で、子供に分かりやすく法律の知識を伝えようと令和元年に『こども六法』を出版した。書店への営業活動の際に、「悩んでいる子供にとって救いとなる知識や考え方を、本の販売を通じて伝えることが、書店が果たすべき社会貢献」と話す書店員に出会ったことが、キャンペーンのきっかけだという。

 山崎さんは、子供の悩みに寄り添う数多くの本を出版してきたが、「子供に対して一つでも多くの選択肢を提供したいと制作してきました。本屋のミカタキャンペーンが、書店にとって負担のない範囲で長く続いていけば。書店が、『子ども110番の家』のようになっていったらうれしいですね」。

 自分を責めないで

 新型コロナウイルスの感染が広がるなかで、昨年、子供の自殺者数は過去最多となった。今年の上半期の自殺者数はすでに、昨年を上回っている。いじめや友人関係に悩む子供は、新学期が近づくと追い詰められてしまう傾向がある。

 山崎さんは「学校がつらいなら遠慮なく休んでいい。目的は、学校に行くことではなく、安心して友情をはぐくみ、勉強に打ち込める場に身を置くこと。それが達成できないなら、学校に行かないということが選択肢になる」と訴える。

 学校に行けない自分を責めてしまい、苦しい思いを抱える子供は多いが、山崎さんは、「ひどい目に合っているのは相手がひどいことをしているから。どんな原因があっても、いじめや違法な行為で対応するのは認められないこと。つらい思いをしている自分が悪くないということを知ってほしい。そして解決する責任は大人にある。自分を責めずに、大人に助けを求めてほしい」と力を込める。

 一方で子供を救うためには、大人への支援も重要だという。令和2年に、虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した18歳未満の子供は10万6991人に上り、統計のある平成16年以降初めて10万人を超えた。経済的、精神的に厳しく、追い詰められてしまう大人も少なくないのだ。山崎さんは、「大人もコロナ禍でストレスを抱えているんです。大人が救われたら、救われた大人が子供を助けられるようになります。子供だけではなく、大人も余裕のない状態になったら周囲に助けを求めてほしい」と話している。

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