教育・子育て

「時計もカレンダーも読めない」プロ家庭教師が嘆く学力低下の衝撃 (2/2ページ)

 ■検索機能は「分かった気」になりやすい

 スマホを使うメリットの一つに検索機能がある。分からないことは、すぐに調べられ、答えを知ることができるため、学習にも使うことが多い。しかし、検索機能で出てくる答えは、すべてが正しいわけではなく、その判断が難しい。また、なんとなく分かった気になっているけれど、厳密には理解できていないことも多い。

 検索機能は、すぐに答えが見つかるが、そのことしか出てこない。辞書を引けば、その前後の説明があったり、補足があったりして、全体を理解することができる。言葉の意味や表現を多く知るためにも、やはり小学生には辞書を使うことをすすめる。

 一方、スマホで調べるメリットもある。例えば植物を調べるときなどに、画像や動画でビジュアルがすぐに確認できることだ。ただし、パパッと検索して見つけたものは、忘れるのも早い。図鑑などで苦労して探す方が記憶には残りやすい。やっと見つけた! という感動とともに、身体感覚として残るからだ。小学生の子供は身体感覚で学習する。自分の手で触ったり、実際に見たり、手を動かしたりすることで、自分の記憶として残り、知識を吸収していく。

 ■不便だからこそ、頭が鍛えられる

 スマホは大変便利なツールだ。だが、小学生の子供にはできるだけアナログなものを使わせてほしい。不便だからこそ工夫をし、苦労するからこそ記憶に残るからだ。冒頭でキャッシュレスについての危惧を伝えたが、小学生に現金を使う機会が必要なのは、10進法の感覚を身に付けるためだ。小学生が学習する算数は、数や単位の感覚だったり、図形の性質の理解や解き方だったりといった基本である。私はそれを道具と言っているが、算数は道具が少ない。その少ない道具を使って工夫しながら考えることによって、頭が鍛えられる。

 一方、数学は方程式など便利な道具を使って解くものだ。それを使えるのは、小学生で基礎を学んでいるから。基本的な道具が使えるようになってこそ、便利な道具を活かすことができる。これは、アナログ時計や紙のカレンダー、辞書などを使って基礎を身に付けることと同じ考えだ。

 小学生の子供にはできるだけアナログのものを使わせ、不便な経験をさせよう。不便は工夫を生み出す。自分なりに工夫する経験を積んでから、スマホを持たせるとその便利さに気づくだろう。スマホを持たせるのは今じゃない。

 

 西村 則康(にしむら・のりやす)

 プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員

 日本初の「塾ソムリエ」として、活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導に定評がある。

 

 (プロ家庭教師集団「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康 構成=石渡真由美)(PRESIDENT Online)

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